日本製鉄の高炉スラグ微粉末製品、国のダム建設工事の脱炭素化で採用

日本製鉄(東京都千代田区)と日鉄スラグ製品(同・中央区)は7月16日、高炉スラグ微粉末製品「エスメント」が、岐阜県「新丸山ダム建設工事」において、低炭素型コンクリートの混和材料として採用されたと発表した。セメントの75%(約3750t)をエスメントに置き換えることで、約2800tのCO2を削減できる。低炭素型コンクリート使用による国内土木工事の脱炭素化では最大規模の取り組み。

製鉄の副産物を粉砕しセメントを代替、コンクリート混和剤として十分な性能

「エスメント」は、日本製鉄の高炉スラグを使用し、日鉄スラグ製品が製造するもの。セメントの多くを同製品に置き換えて製造するコンクリートは「低炭素型コンクリート」となる。

高炉スラグは、製鉄の工程で生じる副産物だ。これを加圧水で急冷・破砕した後に粉砕し、さらに粉末度を調整する。副産物を粉砕するだけで製造され、粉砕の前に原料の焼成が必要であるセメントと比べ、製造時のCO2排出量は1/40程度に低減される。

セメント同様に水和反応を経て硬化する性質があり、さらに長期にわたって強度が増進するという。そのため、セメントの大半をエスメントに置き換えても化学的に安定しており、構造体コンクリートとして十分な強度を発揮する。

日本製鉄グループでは、低炭素コンクリート製造へのエスメント供給を通じ、インフラ整備における脱炭素化と副産物の有効活用に取り組むとしている。

低炭素型コンクリート、バンテリンドーム約1個分を打設

国土交通省中部地方整備局発注の「新丸山ダム本体建設第1期工事・第2期工事」での同取り組みは、低炭素型コンクリート使用による脱炭素化の試みとしては国内の土木工事において最大規模。今回、大林組(東京都港区)が開発した「クリーンクリート®」の原料セメントの75%をエスメントに置き換えた。

エスメントを使用した低炭素型コンクリートの打設箇所は新丸山ダムの下流締切工および既設丸山ダム仮排水路閉塞工。打設容量は約1万5500m3を予定しており、「バンテリンドーム ナゴヤ」約1個分に相当するという。

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/cb0a23b1-dc46-4e7f-839a-80ed26caf57a

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. タンザニアとJCM構築へ 合同委員会設置 パートナー国30カ国の目標達成

  2. DCMとカインズ、東海エリアで共同配送 年間33t超のCO2削減へ

  3. ICROA(国際カーボン削減・オフセット同盟)、最善実践のための規範コードを更新

  4. Varaha が Puro.Earth と提携し、インド初の産業用バイオ炭由来の炭素クレジットを開始

  5. ベトナム・サトウキビ畑の農地管理改善でカーボンクレジット創出 出光ら実証

  6. 千葉大、国立大初バーチャルPPA導入 クリーンエナジーコネクトらと連携

  7. 気候介入環境影響基金 (CIEIF)が炭素除去企業に新たな資金調達の機会を提供

  8. 東京ガス、ゼロカーボンシティ実現目指す三郷市の取り組み支援 協定締結

  9. キグナス石油、Jークレジット活用のカーボンオフセット燃料 実証を開始

  10. COP29: 炭素市場が最終承認を得る

  11. 米国エネルギー省、炭素回収・利用・貯留(CCUS)技術に13億ドルの増額を予定

  12. 阪神タイガース、夏の9試合をカーボン・オフセット 200tのCO2削減

  1. 温室効果ガス (Greenhouse Gas, GHG)|用語集・意味

  2. 削減プロジェクト (Reduction Project)|用語集・意味

  3. 炭素市場とは|用語集・意味

  4. カーボンニュートラルとは|用語集・意味

  5. 排出削減 (Emission Reduction)|用語集・意味

  6. 【気候変動と脱炭素ビジネス①】日本人が知らない環境危機と地球に配慮したクリーンなビジネスとは?

  7. 大阪ガス脱炭素社会の実現へ 研究拠点を大阪に開設 二酸化炭素の年間排出量1000万トン削減目標

  8. 森林再生 (Afforestation/Reforestation, A/R)|用語集・意味

  9. ブルーカーボンとは|用語集・意味

  10. トレーディングプラットフォーム (Trading Platform)|用語集・意味

  11. 追加性 (Additionality)|用語集・意味

  12. 排出削減単位 (Emission Reduction Unit, ERU)|用語集・意味

  1. CCUSとは(Carbon Capture Utilization and Storage)二酸化炭素回収・利用・貯留|用語集・意味

  2. 【気候変動と脱炭素ビジネス②】日本の課題はトヨタと原子力発電所

  3. 【政府】2040年に向け脱炭素化など国家戦略策定へ

  4. 排出権取引 (Emissions Trading)|用語集・意味

  5. 持続可能な開発 (Sustainable Development)|用語集・意味

  6. 炭素回収・貯留 (Carbon Capture and Storage, CCS)|用語集・意味

  7. 来月、閉鎖されるENEOSの和歌山製油所の跡地が、脱炭素社会のモデル地区として再整備されることになりました。

  8. カーボンファイナンス (Carbon Finance)|用語集・意味

  9. ボランタリークレジットマーケット(VCM)とは|用語集・意味

  10. パリ協定 (Paris Agreement)|用語集・意味

  11. 【財務省】新国債「GX経済移行債」の入札実施 世界初の政府による「移行債」

  12. 【超入門】世界の一流企業が本気で買い求める「カーボンクレジット」って何?(Apple/ディズニー/マイクロソフト/脱炭素/気候変動)