農林水産省は12月19日、2025年の1年間に発表された農林水産分野の研究成果の中から特に優れた10の取り組みを「2025年農業技術10大ニュース」として選定し、公表した。ダイズ圃場におけるN2O削減技術や温暖化に対応した果樹の栽培適地予測マップ、海水から肥料原料を確保する技術などが選ばれた。
内容と社会的関心の高さを基準に選定
「農業技術10大ニュース」は、その年の1年間に新聞記事となった民間企業・大学・公立試験研究機関・国立研究開発法人の農林水産研究成果のうち、内容とともに社会的関心が高いと考えられる成果を農業関係専門紙・誌など30社が加盟する「農業技術クラブ」の会員による投票を得て選定したものだ。
ダイズ・根粒菌共生系でGHG削減
ダイズは土壌中の根粒菌と共生して、根に根粒を形成する。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、東北大学、帯広畜産大学、理化学研究所は、N2O削減能力の低い土着根粒菌の共生を抑制し、削減能力の高い根粒菌を優占的に共生させるダイズ・根粒菌共生系を開発した。
同技術により、収穫後に放出されるダイズ圃場由来のN2Oの排出量を74%削減。これにより、環境負荷の少ないダイズ生産が可能となるという。

(出所:農林水産省)
温暖化下における「果樹適地」予測技術
農研機構が開発した果樹を対象とした予測技術は、気温の将来予測から1kmメッシュの解像度で栽培適地を見出すというもの。GHG排出量が少ない場合・中程度・非常に多い場合の3つのシナリオの下、今世紀半ばと今世紀末の気温を推定。将来における果樹の栽培に適した地域をマップ化する。
企業や自治体は、樹種転換を含む果樹の生産計画や地域気候変動適応計画策定に活用できる。

果樹適地予測のスキーム(出所:農林水産省)
海水から肥料原料を効率よく回収する技術
産業技術総合研究所(産総研)は、海水から肥料原料のカリウムを効率よく回収する技術を開発した。プルシアンブルー型錯体を塗布した電極に電気を流すことで、選択的にカリウムイオンを吸着・脱離。複数回の処理により、海水のナトリウムイオンを99%以上排除し、カリウムイオンを10倍濃縮し回収する。
農作物の生育に必要なカリウム資源を、国内で安定的に生産する技術への転用の可能性もある。
ドローンで鳥獣害対策に革新
NTT eーDrone Technology(埼玉県朝霞市)と一般社団法人 地域総研(宮城県仙台市)は、鳥獣害対策のためのレーザー搭載ドローンを開発した。
ドローンから赤・緑レーザーを照射し、鳥獣に対して視覚的に強い違和感を与えることで忌避を実現。複雑な照射パターンで慣れを防止し、効果を持続する。イノシシやシカ、カラスなどの多様な鳥獣に対して忌避効果がある。ドローンの自動航行により養鶏場や牛舎など、広範囲のエリアでカラスを忌避する。自動航行機能により、鳥獣の追い払いにかかる人的・時間的負担を削減する。農地の鳥獣害対策のほか、鳥獣によるウイルスなどの伝播を防ぐことにより、畜産業の防疫対策への貢献も期待できる。
【参考】
農林水産省―「2025年農業技術10大ニュース」を選定しました!
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/fb164bce-821e-4b48-8e92-5b89a7916507