東京都は9月12日、中小企業を対象としたGX技術の海外展開を支援する新事業に関して、26社を採択したと発表した。各社は都の支援の下、グローバルサウス諸国において、再エネや新エネ、省エネ化・カーボンクレジット創出など脱炭素経営、EV・水インフラ・ドローン導入などに取り組む。
延べ18カ国へGX技術を展開
今回採択された26社により、アジア諸国、中東、アフリカ、中南米の延べ18カ国にGX技術が海外展開されることになる。
再エネ・新エネ分野では、廃棄物から水素生成する技術やソーラーシェアリング事業などが採択。脱炭素経営分野では、液式調湿空調機による省エネや森林由来クレジット創出などが、その他の分野では、商用EVやドローン配送などの海外展開支援が決定した。
主な採択事業の内容は以下の通り。
再エネ・新エネ
BIOTECHWORKSーH2(東京都渋谷区)が、インドネシアにおける廃棄物水素化・水素利活用エネルギー化のマスタープラン策定・商用化実証事業で採択された。同社は廃棄物から水素を生成し再エネとして活用する都市型循環経済モデルの実現を目指しており、8 月には、インドネシア商工会議所と、廃棄物から水素を生成する「ZERO WASTE」モデルに関する戦略的MOU(覚書)を締結した。
ゼファー(同・港区)は、エジプトにおける低圧風力発電機の導入事業を実施する。
TERRA(千葉県匝瑳市)はUAEでソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)のフィージビリティスタディ(FS)事業を行う。
UPDATER(同・世田谷区)は、タンザニア初期費用不要モデルでの分散型太陽光発電事業を、ZEエナジー(同・中央区)は、タイでのバイオマス由来の廃棄物を活用したバイオ炭生産・流通・日本輸出に関するFSを実施する。
脱炭素分野
脱炭素経営分野では、東京大学発スタートアップの本郷植林研究所(東京都港区)が、UAEで早生樹植林によるカーボンクレジット(VCS)創出のためのGX事業で採択された。
ダイナエアー(同・千代田区)は、ベトナムにおいて液式調湿空調機の活用事業に取り組み、「調湿換気+室内の温度調節」という空調方式を普及させ、グローバルサウス諸国の省エネ・CO2削減を目指す。
その他の分野
このほかの分野では、eMotion Fleet(同・新宿区)がタイで経済性の確立を含めた商用EV導入支援事業に、ENELL(同・港区)がインドで分散型水源インフラの社会実装事業に、エアロネクスト(同・渋谷区)がモンゴルでのドローン配送による脱炭素化に取り組む。
エアロネクストは7月、モンゴル初のドローンによるフードデリバリーに成功した。なお、この試験飛行は、経済産業省補助事業での実施となった。
補助率は、中小・スタートアップ企業が2/3、中堅企業が1/2
グローバルサウス諸国は今後、エネルギー需要の大幅な増加が見込まれ、GX促進による脱炭素化が求められている。そこで、同事業では、中小企業が現地で行う調査や実証に要する経費の補助とハンズオン支援を行う。
マスタープラン策定・FS実施の補助率は、中小企業・スタートアップ企業が2/3、中堅企業が1/2で、上限はともに1億円。実証・事業化の補助率は1/2で、上限は3億円(マスタープラン・FS費用除いた額)。
ハンズオン支援では、事業運営事務局や、外部企業・団体から構成される連携サポーターのノウハウなどを活用し、現地での事業展開の伴走支援・海外現地企業とのマッチング支援を行う。

事業イメージ(出所:東京都)
【参考】
東京都―新規事業 グローバルサウスのGX促進プロジェクト
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/d4cff3c5-3359-4020-9fee-ffde54d1a2bc