東京都は3月6日、キャップ&トレード制度の第3計画期間(2020年度~2024年度)の4年度目(2023年度)における削減実績を取りまとめ発表した。
2023年度の対象事業所の排出量は合計1132万トンで、経済活動の回復による利用者数の増加や夏季の猛暑などの影響がある中、省エネ対策の進展及び低炭素電力・熱の利用により、基準排出量から31%削減となった。
高効率機器・LED照明移行が奏功
第3計画期間の削減義務率は、基準排出量比でオフィスビルなどが27%、工場などが25%だった。CO2排出量の削減の要因としては、高効率機器・LED照明などへの更新、再エネの利用をあげている。また、増加の要因として、事務所や宿泊施設などの利用者数の増加、猛暑に伴う空調の需要増、通信インフラの需要増をあげている。
78%が自らの対策で第3計画期間の義務履行見通し
同制度の対象は、オフィスビル・商業施設・官公庁・宿泊・病院・工場などで約1200事業所。年間のエネルギー使用量が原油換算で1500キロリットル以上の事業所に対して、CO2排出量の削減義務を義務付けている。また、排出量取引を活用して他の事業所の削減量(クレジット)などを取得して義務を履行することができる。
都が参考値として示した第3計画期間の義務履行の見通しでは、自らの削減対策などにより義務達成見込みの事業所は78%で、前年度比で1%減少した。自らの削減対策などにより義務達成が困難である見込みの事業所は22%だった。

2023年度実績に基づく義務達成事業所割合の推計※2024年度の排出量が、2023年度実績から一定と仮定した場合(出所:東京都)
低炭素電力・熱を使用した事業所は減少
都は、義務達成手段のひとつとして、都が認定するCO2排出係数の小さい供給事業者から電気または熱を調達した場合に、CO2削減分として認める仕組みを導入している。
2023年度に低炭素電力を使用した事業所は、2022度の201事業所から155事業所に減少した。また、2023年度に低炭素熱を使用した事業所は、2022年度の179事業所から161事業所に減少したが、削減量(合計)は、2022年度(約37,070t-CO2)より増えて。約44,923t-CO2となった。
2023年度に低炭素電力・熱を選択した事業所(出所:東京都)
種別 | 低炭素認定 供給事業者数 |
仕組を活用した事業所 | |
事業所数 | 削減量(合計) | ||
低炭素電力 | 21事業者 | 155事業所 | 約345,886t-CO2 |
低炭素熱 | 43事業者(区域) | 161事業所 | 約44,923t-CO2 |
義務履行へ新たな削減対策を計画・実施
都は、対象事業所の計画書を分析し、第3計画期間の義務履行に向け、新たな削減対策が計画・実施されていると報告している。2024年度は、合計9,542件の対策により約122万tのCO2削減が計画されている。計画書には主な削減対策として、「高効率照明及び省エネ制御の導入」(2051件、削減量147,482t)、「高効率熱源機器の導入」(375件、削減量134,929t)、「高効率空調機の導入」(380件、削減量31,257t)などが記載されている。

対象事業所が実施・計画している対策による削減量(出所:東京都)
東京都キャップ&トレード制度とは
東京都は、2010年度から環境確保条例に基づき、大規模事業所に対する「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード制度)」を開始した。
第1計画期間(2010年度~2014年度)の削減義務率は、オフィスビルなどが8%、工場などが6%。第2計画期間(2015年度~2019年度)の削減義務率は、オフィスビルなどが17%、工場などが15%。両期間とも、すべての対象事業所がCO2総量削減義務を達成している。
第3計画期間の削減義務率は前述の通り。なお、基準排出量は、事業所が選択した2002年度から2007年度までのいずれか連続する3カ年度排出量の平均値としている。第3計画期間については電気などの排出係数は第三計画期間の値で算定している。
なお、都は2023年10月、第4計画期間(2025~2029年度)における削減率や新たな取り組みを公表している。
【参考】
東京都―キャップ&トレード制度 第三計画期間4年度目においても対象事業所の排出量の大幅削減が継続
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/86979b8e-98c3-40d8-b2ad-d0ab95d3d707