鹿島建設(東京都港区)は4月3日、同社などCUCOコンソーシアムが開発を進めるカーボンネガティブコンクリートを活用した「CUCO(クーコ)-舗装ブロック」および「CUCO-地先境界ブロック」を、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)会場に適用したと明かした。このうち舗装用ブロックは、コンソーシアム各社が保有する技術を融合・高度化し、10種類を製造した。
使用済み太陽光の廃ガラスなど多様な材料を活用
舗装用ブロックの材料となったのは、同社がこれまで開発してきた低炭素セメント「ECM」や「Cem R3」、CO2と反応して固まる特殊混和材「γ-C2S」、製造時に予めCO2を吸収・固定したCCU材料など。一部のブロックには、資源の有効活用の観点から、太陽光パネルの解体時に発生する廃ガラスを再生利用するガラスカレットも使用された。

10種類のCUCO-舗装ブロックの内訳と万博での適用箇所(出所:鹿島建設)
万博会場約3300m2に適用、CO2約9.7トンを固定
これらの材料がブロックの製造性や品質に及ぼす影響については、1年にわたり製造実証試験を実施し、10種類すべてが強度と耐久性の基準値をクリアすることを確認した。
「CUCO-地先境界ブロック」では、一般的なコンクリートと比べてCO2削減量333kg/m3(CO2固定量は179kg/m3)という成果を挙げた。この数字は、CUCOコンソーシアムとして最高水準のCO2削減量だという。
今回は、これらのブロックを万博のEXPOアリーナなど約3300m2に適用した。これにより、一般的なブロックを使用した場合と比べてCO2排出量は約65トン削減し、約9.7トンのCO2がコンクリートに固定された。

「CUCO-地先境界ブロック」のCO2排出量(出所:鹿島建設)
なお同社は万博期間中、訪問者の往来や環境の影響によるブロックの品質変化をモニタリングし、取得したデータを基に今後の研究開発に役立てるとしている。
3つのコンクリ技術を融合し、CO2削減・固定量の最大化を図る
CO2を削減できる環境配慮型コンクリートには、以下の3つの構成技術がある。
- セメント低減型コンクリート技術:製造時に大量のCO2を排出するセメントの代替材料として、各種の産業副産物を用いることでセメント由来のCO2を低減する技術
- CO2固定型コンクリート技術:炭酸化養生でコンクリートにCO2を固定させる技術
- CCU材料活用型コンクリート技術:産業副産物等に含まれるカルシウム分にCO2を固定させた粉体や骨材を作ってコンクリートに練り混ぜる技術
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のGI基金事業では、これら3つの技術を融合させ、CO2削減・固定量を最大化したコンクリートの開発を目指している。

CO2削減・固定量最大化のイメージ(出所:鹿島建設)
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/68823f82-1588-44e9-8dbf-d7d7836302f8