G20環境・気候持続可能性大臣会合が10月16日~17日に、南アフリカ・ケープタウンで、開催された。
南アフリカが議長を務めたこの会合では、「大気質」と「環境に影響を及ぼす犯罪」に関する2つの閣僚宣言が取りまとめられた。南アフリカ政府は、同課題がG20フォーラムで初めて環境議題に取り上げられたことに対し、その緊急性と人間・生態系・経済への横断的影響が国際的に認識されたことを示すものだと報告した。
「生物多様性と保全」など6テーマで議論

G20環境・気候持続可能性大臣会合出席者の集合写真(出所:環境省)
環境省は10月20日、この会合の結果を報告した。会合には、G20各国と6カ国の招待国、国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)、経済協力開発機構(OECD)などの招待機関が出席した。日本からは、五十嵐 清環境大臣政務官ほかが出席した。
この会合では、(1)生物多様性と保全(2)土地劣化、砂漠化、干ばつと水の持続可能性(3)化学物質、循環経済と廃棄物管理(4)気候変動(5)大気質(6)海洋と沿岸などについて、議論が行われた。
その成果文書として、「大気質に関するケープタウン閣僚宣言」「環境に影響を及ぼす犯罪に関するケープタウン閣僚宣言」と「議長サマリー」が取りまとめられた。環境省は、成果文書について後日掲載するとしている。
より強力な国際協力で2つの課題に対応
南アフリカ政府が発表した2つの閣僚宣言の概要紹介によると、「大気質に関するケープタウン閣僚宣言」は、G20メンバーに対し、さまざまな政策やセクター間の相乗効果を促進し、あらゆる財源を動員し、データとモニタリングを改善し、大気汚染の影響を最も受けているコミュニティへの支援拡大を約束。「環境に影響を及ぼす犯罪に関するケープタウン閣僚宣言」は、環境の安全、社会、経済の健全性を損なう違法な野生生物取引、森林破壊、鉱業、廃棄物密輸その他の越境犯罪に対抗するため、より強力な国際協力を求める内容だという。
五十嵐環境大臣政務官による発言と二国間会談
今回の会合で、五十嵐環境大臣政務官は、気候変動、生物多様性の損失と汚染の3つの世界的な危機への対処において、対策間のシナジーを発揮させることの重要性を強調した。また、2035年度、2040年度において、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指す、日本の次期「国が決定する貢献(NDC)」を発信した。あわせて、次期NDC未提出の国に対して、11月に開催されるCOP30の前に早期提出することを呼びかけた。
加えて、議長国南アフリカが、2019年大阪サミットから続く海洋プラスチックごみ対策報告書を2025年も取りまとめたことを歓迎するとともに、日本としてプラスチック汚染対策に関する条約の早期策定に向けて引き続き貢献していく旨を発言した。
また、五十嵐環境大臣政務官は、南アフリカ、ブラジル、メキシコ、シンガポール、アメリカ、オーストラリア、カナダの合計7カ国と二国間会談を行った。

大臣会合にて発言を行う五十嵐環境大臣政務官(出所:環境省)
【参考】
環境省―G20環境・気候持続可能性大臣会合の結果について
南アフリカ共和国―Historic firsts for South Africa as G20 adopts Cape Town Ministerial Declarations on Crimes that affect the Environment and Air Quality
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/d1064fee-970b-496a-a4f4-8bd39010e28f