TOPPANホールディングス(東京都文京区)とOOYOO(ウーユー/京都府京都市)は10月10日、CO2を分離回収するCO2分離膜の量産化技術を開発したと発表した。両社は同月から、中小規模工場におけるCO2排出削減への適用に向けた実証実験を開始する。
実証では、分離膜を搭載したCO2分離回収装置(回収量100kg/日)を用いて、ボイラー排ガスからのCO2回収を行い、CO2回収純度と回収率、連続運転による性能安定性を検証する。

TOPPANホールディングス総合研究所での実証実験の様子(出所:OOYOO)
実証は、埼玉県杉戸町のTOPPANホールディングス総合研究所で、ガスボイラーから発生する排ガスを対象に行う。OOYOOのCO2分離膜の技術と、TOPPANの強みである表面加工技術・製造ノウハウを融合させ、高性能なCO2分離膜の量産化技術の実用化を図る。
TOPPANは、実証場所とボイラー排ガスの提供、膜分離装置に搭載するCO2分離膜の製造を、OOYOOは、膜分離装置の設置と運転、運転データの分析を担当する。
2030年までに事業化目指す
CO2分離回収の技術開発では、化学吸収法などの方式が主流となっているが、エネルギーコストや大規模な設備を必要とする点が課題だった。
両社が開発を進めるCO2分離膜は、熱に頼らず省スペースかつ低エネルギーで稼働するため、幅広い産業分野での導入が期待される。今後は実証を通じて規模を問わず適用できる技術を確立し、2030年までに、CO2分離膜事業の開始を目指す。
CO2回収量予測、2035年には年40億tに到達
国際エネルギー機関(IEA)のシナリオ分析によると、CO2回収量は、2030年17億t/年、2035年40億t/年、2050年76億t/年に到達するという。
現在、世界では、EUの排出量取引制度「EU-ETS」や米国のインフレ抑制法によるカーボンプライシングなど整備が進んでいる。日本においても、3月に「GX推進法」改正法が成立。今後はCO2排出削減に関連する事業化が加速すると予想される。CCUSの事業化への動きも活発化で、2030年に600~1200万t/年のCO2利用を掲げる「先進的CCS事業」が進められている。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/d63f93d9-c2fb-45b0-a1b7-1f390c30f07f