名古屋大学発のスタートアップで農業資材の開発などを手掛けるTOWING(愛知県名古屋市)は11月12日、もみ殻など未利用のバイオマスを活用した高機能バイオ炭をブラジルで事業展開すると発表した。米州開発銀行(IDB)の支援事業に採択され、国際協力機構(JICA)による1000万円の追加支援を受け実施する。
支援事業「TSUBASA」に採択 環境配慮型農業の実現目指す
今回、TOWINGはIDBグループが運営するイノベーションを追求するラボ「IDB Lab」とJICAによる支援事業「TSUBASA(Transformational Start Ups’ Business Acceleration for the SDGs Agenda)」に採択された。TSUBASAは中南米やカリブ地域で国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)に貢献する企業を両団体が支援する仕組み。
微生物技術やもみ殻や家畜の糞、野菜の残渣などを活用して開発した独自商品「高機能バイオ炭」を事業展開し、ブラジルで環境に配慮した農業の実現を目指す。
農作物の品質・収穫量向上 温室効果ガス削減も
同社のバイオ炭は農地に使うと農作物の品質や収穫量が向上することが確認されている。農作業の効率化によりCO2などの温室効果ガスの排出量が削減できるほか、本来なら捨てられるバイオマスを使った商品のため、資源循環にもつながる。
プラントへの投資など協力企業募る
TOWINGはブラジルでの事業展開にあたり、バイオ炭による実証栽培などを検討するとともに、現地の研究機関と連携して現地の農業の適合した取り組みを推進。未利用バイオマスの活用、バイオ炭プラントへの投資などの面で協力企業も募る。
2020年に創設したスタートアップ
TOWINGは2020年、名古屋大学発のスタートアップとして設立された。バイオマスに土壌由来の微生物などを選別・培養する技術をかけ合わせ、有機的な農業資材を開発している。
国内では、2024年10月に東邦ガスとバイオ炭の量産に向けた実証、同年6月には野村証券グループとバイオ炭を活用した農業の脱炭素に関する実証など、積極的に取り組んでいる。また、2023年9月にはカーボンクレジットの創出・予約販売において日本国内で特許を取得しており、海外事業展開時には、バイオ炭を活用したカーボンクレジットの組成・販売を海外でも展開するとしていた。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/671d1834-8856-4a45-9896-66ef690c6ab8