電源開発(Jパワー/同)とサステナブル関連企業への投資事業を手がけるSDGインパクトジャパン(SIJ/東京都千代田区)は11月13日、共同出資会社を設立し、インドネシアのPT Mulya Energi Lestari社(MEL社)へ投資すると発表した。
MEL社が運営する水力発電事業から創出される、二国間クレジット制度(JCM)に基づくクレジットの取り扱いに取り組む。
インドネシアで6件・52.5MW規模の水力発電事業を手がけるMEL社
水力発電事業会社であるMEL社は、北スマトラを中心に6件(運転開始済1件、建設中1件、開発中4件)・52.5MW規模の水力発電プロジェクトの開発・運営を手掛けている。またMEL社の開発する水力発電プロジェクトは、JCMを活用しており、インドネシアでの再生可能エネルギーの拡大によるCO2排出削減だけでなく、日本にもその削減貢献が割り当てられ、日本の温室効果ガス削減目標(NDC)達成にも寄与する。
SIJは、これまで、100%子会社であるSIJ Climate合同会社(SIJ Climate)を通じてMEL社の事業へのサポートを行っており、今後の更なる事業の拡大に向けて、Jパワーとの共同出資会社、アイル・インドネシアを設立することにした。共同出資会社への出資比率はJパワーが95.97%、SIJ Climate(SIJ社100%子会社)が4.03%。
MEL社への出資は、JCMの取り組みをより一層推進するものとしても位置付けられており、共同出資会社においてはMEL社が取得するJCMクレジットの取り扱いにも取り組む。
また、MEL社への共同出資を通じて、Jパワーが国内外で培った水力発電事業の技術力と運転経験と、SIJの気候変動ファイナンスやカーボンクレジットに関する経験やネットワークを合わせることで、インドネシアのエネルギートランジションと気候変動緩和の推進に取り組んでいく。
Jパワー初のインドネシア水力発電出資案件
Jパワーは、MEL社による第三者割当増資を引き受け、インドネシアにおける水力発電事業に参画した。SIJ社と共同で設立した共同出資会社を通じてMEL社の株式を27.23%取得した。
Jパワーにとって、インドネシアにおいて、2022年に商業運転を開始したバタン発電所(石炭火力発電所)に続く2件目の案件となり、Jパワー初の水力発電出資案件となる。
MEL社は2016年に設立された水力発電の開発・建設・運営を行う事業会社。MEL社が開発する水力発電プロジェクトは「流れ込み式」と呼ばれる河川の水をそのまま引き込み水量と落差で発電を行う技術で、貯水が伴うダムなどに比べて周辺環境への負荷が小さく、水量が年間を通して安定しており、落差が大きい河川が多く存在する北スマトラに適している。
JCMはカーボンプライシング制度における活用も期待
二国間クレジット制度(JCM)は、途上国等への優れた脱炭素技術等の普及や対策実施を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価するとともに、日本のNDCの達成に活用する制度。
日本は2050年、インドネシアは2060年までのカーボンニュートラルの達成目標を掲げ、自国のNDC目標達成に向けて官民あげて脱炭素の取り組みを推進している。近年では両国ともにカーボンプライシングの制度が徐々に具体化し、排出量取引市場の整備なども進められている。JCMクレジットはパリ協定に準拠したカーボンクレジットであり、カーボンプライシング制度における活用も期待され、CO2排出削減が困難なHard-to-Abate産業における需要拡大が見込まれている。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/66357fd5-2015-4f23-90e5-2a0522f95ba4