三菱造船(東京都港区)は4月10日、船舶から排出されるCO2を船上で回収・貯蔵する「船上CO2回収システム(OCCS)」に関して、一般財団法人日本海事協会(NK/同・千代田区)から基本設計承認(AiP)を取得したと発表した。同システムの製品化に向け、今後は開発を加速していく。
三菱重工独自のCO2回収技術を船舶に応用
OCCSは、船舶から排出される排ガスを浄化後、CO2を回収して液化・貯蔵するシステムで、船舶の脱炭素化の新たなソリューションとして注目されている。
三菱重工グループでは、エナジートランジションの事業強化に重点を置いており、今回のOCCS開発もその一環として進められている。開発を担う三菱造船は、陸上設備で豊富な実績を有する三菱重工のCO2回収技術を中核に、排ガスの前処理やCO2の液化、貯蔵、ハンドリングの各技術を組み合わせて船上搭載可能なシステムの実現を目指す。
なお、基本設計承認(AiP)とは、認証機関が基本設計を審査し、技術要件や安全性の基準を満足すると承認されたことを示すもの。今回はNKが定める「船上CO2回収貯蔵装置ガイドライン」に基づき、審査が実施された。

AiP証書(出所:三菱造船)
1990年からCO2回収技術の開発を推進
三菱重工グループは、1990年から関西電力(大阪府大阪市)と共同で、CO2回収技術「KM CDR Process」や「Advanced KM CDR Process」の研究開発を推進し、2025年4月時点でこれらの技術を用いたプラントを18基納入している。
Advanced KM CDR Processは、アミン吸収液「KS-1」に技術改良を加えた「KS-21」を採用する。KS-21は、KS-1と比べて再生効率に優れ、劣化が少ないという特徴があり、優れた省エネルギー性能と運用コストの低減および低いアミンエミッションを実現する。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/bd1e2593-6ad8-4753-bedf-78214b64816c