パーク24、カーシェアリングによるCO2削減効果を定量化 大分大と

パーク24(東京都品川区)と大分大学は7月4日、カーシェアリングによるCO2排出削減効果を定量化する共同研究を開始すると明かした。パーク24が有するタイムズカー会員の利用実績などのデータと、大分大学の学術的アプローチを活用する。

アカデミアと事業者の強みを活かし、循環経済型ビジネスモデル構築を目指す

パーク24は、車の個別所有からカーシェアリングへの移行によって実現するCO2排出削減貢献量の精緻化と、その効果をより高めるための運用上の視点の獲得を目指す。将来的には、得られた結果を基に、経済価値と環境価値が両立する事業成長の実現につなげる。

大分大は、既存のカーシェアリングに関するライフサイクル分析のシステム境界を拡張し、「カーシェアリングの普及に伴う人々の行動変容が削減貢献量にどのくらい寄与してきたか」や「今後どのくらいの貢献が見込めるか」などを、アカデミックの観点から解析する。

大分大准教授、自動車寿命延長とCO2排出量との関係性を実証

今回の取り組みで中心的な役割を担う大分大学経済学部 中本 裕哉准教授は、2021年に、九州大学の加河 茂美教授とともに、自動車寿命の延長がCO2削減につながるという研究結果を発表した。

中本氏らによると、「乗用車の物理的寿命」「新車の経済的寿命」「中古車の経済的寿命」それぞれを10%延長した場合。自動車のカーボンフットプリントは、それぞれ30.7トン、26.4トン、5.2トンの削減につながったという。

なお、研究レポートでは、近年は排ガス規制やEVの利用促進などの環境対策に焦点があてられているが、製品使用時だけでなく、ライフサイクル全体での環境負荷削減にも注力すべきと指摘している。

カーシェア普及による環境負荷低減に期待

2050年のカーボンニュートラル実現に向け、モビリティ業界では、次世代の移動手段や交通インフラに加え、循環経済型ビジネスモデル構築など多様な検討が進んでいる。こうした中、カーシェア普及により、車を「所有する」という考え方から「利用する」というスタイルへの転換が進むことで、資源の有効活用とともに、車両製造などに伴うCO2排出量が減り、環境負荷低減につながると、両者は説明する。

なお、パーク24は、カーシェアリングサービス「タイムズカー」を展開し、全国に5万8772台の車両を保有、会員数は332万人を超える。

【参考】
大分大学―大分大学とパーク24がカーシェアリングによる社会全体のCO2排出削減貢献量に関する共同研究契約を締結
大分大学―自動車の耐久性と買い替え行動がCO2量に与える影響を分析! ~自動車寿命の延長がCO2削減の鍵~

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/70c84612-9988-4918-99c8-74df16e16fb6

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. 環境省、カーボン・オフセット指針とガイドラインを改定

  2. MS&ADグループ、カーボンクレジット創出を見据えて森林ファンドに投資

  3. Verra、東南アジアの気候変動対策推進のためSSFA加盟を発表

  4. Shopify、ブラジルのARRプロジェクトからカーボンクレジットを購入

  5. 政府、GX推進へ1兆6000億円規模の予算を要求—脱炭素投資とLNG確保に向けた戦略を強化

  6. TBSら、気候変動対策を推進する新会社設立 営農太陽光などで再エネ化へ

  7. 早大、日建設計との研究成果をまちづくりに実装へ UR都市と連携協定締結

  8. サステナクラフト、2023年のボランタリーカーボンクレジット市場動向レポートを公開

  9. 都の「GX関連外国企業進出支援事業」、2024年度は7社を選出

  10. アルフレッサHD、ヤマトグループのEV導入サービスでCO2排出量削減へ

  11. 京都府、「非化石証書」共同購入事業を継続 安価・簡易に環境価値調達を支援

  12. グリーンカーボン、北陸・東北エリアのクレジット創出強化へ 担当営業所新設

  1. 財務省は14日、脱炭素社会への移行を目的とした新たな国債「GX経済移行債」の入札を実施しました。政府による「移行債」の発行は世界で初めてです。

  2. 【気候変動と脱炭素ビジネス②】日本の課題はトヨタと原子力発電所

  3. 京都議定書|用語集・意味

  4. ボランタリークレジットマーケット(VCM)とは|用語集・意味

  5. グリーン成長戦略とは|用語集・意味

  6. 認証排出削減量 (Certified Emission Reductions, CER)|用語集・意味

  7. 追加性 (Additionality)|用語集・意味

  8. カーボンファーミングとは|用語集・意味

  9. CCUSとは(Carbon Capture Utilization and Storage)二酸化炭素回収・利用・貯留|用語集・意味

  10. J-クレジット (Japan Credit)|用語集・意味

  11. 来月、閉鎖されるENEOSの和歌山製油所の跡地が、脱炭素社会のモデル地区として再整備されることになりました。

  12. 土地利用変化とは|用語集・意味

  1. 温室効果ガスとは|用語集・意味

  2. オフセットクレジット (Offset Credit)|用語集・意味

  3. クリーンエネルギー|用語集・意味

  4. カーボンオフセット (Carbon Offset)|用語集・意味

  5. 京都議定書|用語集・意味

  6. グリーン成長戦略とは|用語集・意味

  7. REDD+(Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation)|用語集・意味

  8. カーボンニュートラル (Carbon Neutral)|用語集・意味

  9. 排出権取引 (Emissions Trading)|用語集・意味

  10. カーボンプライシングとは|用語集・意味

  11. 財務省は14日、脱炭素社会への移行を目的とした新たな国債「GX経済移行債」の入札を実施しました。政府による「移行債」の発行は世界で初めてです。

  12. 温室効果ガス排出量 (GHG Emissions)|用語集・意味