北海道は8月6日、J-クレジット制度を活用し、道有林で創出した森林由来クレジット「キキタ・グリーンクレジット」の販売を開始した。クレジットの購入を希望する企業の意向などを踏まえ、通常販売、入札販売、長期協定販売の3つの手法と、販売量の規模に応じて段階的な価格を設け、多様な販売手法を設定した。
2万強haの人工林、クレジット創出8年間で58万トン
「キキタ・グリーンクレジット」は、道有林の上川北部と網走西部管理区の人工林約2万6000ヘクタールを対象に、航空レーザを活用し大規模創出されたもので、クレジット創出量は8年間で58万トンの見込み。
道は、保有林である羊蹄山・旭岳周辺のトドマツなどの人工林約245ヘクタールを間伐して新たに吸収するCO2を、オフセット・クレジット(J-VER制度)によりクレジット化し、2012年3月より販売している。認証量は4362トン。
クレジットの購入方法と販売価格
道保有林クレジットの購入方法と2025年度の販売価格は下表の通り。
販売手法 | 販売数量
(トン-CO2) |
標準価格
(円/トン-CO2・税抜) |
道内事業者価格
(円/トン-CO2・税抜) |
備考 |
通常販売 | 1~99 | 10,000 | 10,000 | |
100~499 | 9,000 | 8,100 | ||
500~999 | 7,000 | 6,300 | ||
入札販売 | 1,000~5,000 | (非公表) | ||
長期協定販売
(複数年) ※期間は3年間、価格・数量を固定して販売 |
1,000~10,000 | - | 4,000 | 道内優先販売時 |
5,000~10,000 | 4,500 | 全企業対象 |
通常販売
随時、申込みを受け付け、先着順で販売する。最低販売数量は1トンで、販売可能数量は、J-クレジットが5500トン、J-VERが762トン。1契約当たりの最大販売数量は999トン。募集期間は2026年3月31日まで。なお、販売価格は市場の動向などに応じて、適宜見直される。
入札販売
最低販売数量は1000トンからで、最高販売数量は5000トン、販売単位は100トン。入札参加者は、8⽉22⽇までに入札参加資格審査申請書などの必要書類を提出すること。
第2回入札販売募集は、9月1日~9月15日まで実施する。販売数量は5000トン。
また、国内の企業を対象とした販売の募集は9⽉1⽇~9⽉12⽇。販売予定数量は1万トン。募集対象は国内に本社などを有する事業者・団体など(自社でオフセットする者)。詳細は、8⽉下旬に通知する。
道内価格の適用について
道内価格は、原則、北海道内に本社または本店が所在する企業などが購入する場合に適用する。本社などが北海道内に所在しない場合で、北海道内に現に稼働する工場などを有し、購入したクレジットの全量を、購入した年度内にオフセットできる場合、または道内工場等でオフセットする場合は、相談のこと。
環境貢献企業としてPR、企業価値を向上
道は、クレジット購入のメリットとして、環境貢献企業としてのPR効果と企業価値の向上を挙げる。クレジットの購入を通じて、道有林61万ヘクタールをはじめとした、北海道の森林の整備や保全活動に貢献し、百年先を見据えた森林づくりを後押しする。温対法・省エネ法の報告への活用や、カーボン・オフセットへの活用などクレジット購入をPRすることは企業価値向上につながる。
また、道では、自らがクレジットの創出・販売に率先して取り組み、成果やノウハウを一般民有林に普及することにより、森林整備の推進と林業・木材産業の振興を図り、百年先を見据えた森林づくりを推進している。また、クレジットを大規模・安定的に供給・販売することで、道内外のオフセット需要に応え、ゼロカーボン北海道やカーボンニュートラルの実現に貢献することとしている。

プロジェクトパンフレット表紙より(出所:北海道)
【参考】
北海道―道有林における森林由来クレジットの創出と販売
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/ec4cf1c2-9227-4f9a-944d-2414f1bbe13e