バイウィル(東京都中央区)は9月10日、Santa Mineral(同・港区)、IJTT(神奈川県横浜市) と、DAC技術によりJ-クレジット化を目指す取り組みを開始すると発表した。3社は、Santa Mineralが開発したCO2吸収・固定装置「SUKUU(スクウ)」をバイウィル・IJTT関連施設に設置し、常時運用する実証実験に着手した。
従来のDAC装置と比べ、回収エネルギー・コストを低減
「SUKUU」は、CO2回収に要するエネルギーや回収コストは従来のDAC装置と比べて低減できるという。
3社は今回、同装置を活用し、回収したCO2をコンクリートに固定化。バイウィル主導の下、J-クレジット制度の新方法論である「IN-006:CO2吸収型コンクリート」を適用したプロジェクト登録を進め、2026年中のカーボンクレジット創出を図る。
IJTTは、実証フィールドとして自社の鋳造工場を提供するほか、鋳造工程で発生する廃砂をアップサイクルしたCO2吸収・固定セラミック開発を推進。Santa Mineralは、同実証を通じて、「SUKUU」の改良を行い、製品化を目指す。
なお同実証は、ラボや専用施設でなく、オフィスと過酷な環境下にある製造現場で、CO2吸収・固定装置を常時運用する国内初の試みとなる。

IJTT工場内に設置された「SUKUU」(出所:バイウィル)
「炭酸カルシウム固定化」を活用したDAC活用も進める方針
自動車産業をはじめとする製造業では、溶解炉の燃焼や型材の製造など鋳造工程で、多量のCO2が排出される。各社が目指すカーボンニュートラル達成には、自社努力だけでは達成が難しく、DACなどのネガティブエミッション技術への期待が高まっている。
DACは、コンクリート分野以外への応用が可能とされており、たとえば海洋でのCO2固定化が実現すれば、吸収・固定量が飛躍的に増大し、さらなる技術的発展とグローバルな貢献が見込まれる。
バイウィルは今後、「炭酸カルシウム固定化」による新方法論の登録と、これを活用したDAC社会実装の検討を進める方針だ。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/8d496df4-9aa0-46b3-b904-af57e3b36f7d