北海道ガス(北海道札幌市)は11月19日、北海道と、道有林の適切な森林管理によって創出された「道有林クレジット」を年間1万t、2027年度までの3年間にわたり購入する協定を締結したと発表した。
北海道ガスは購入した道有林クレジットを活用して、北海道内で活動する企業へ「カーボン・オフセット都市ガス」を提供し、顧客の低・脱炭素化を支援する。北海道は道有林クレジットの販売収入を森林づくりに還元する。
北海道から安定的に購入、低・脱炭素化に貢献

カーボン・オフセット都市ガスのスキーム(出所:北海道ガス)
道有林クレジットは、北海道がJ-クレジット制度により、道有林の上川北部と網走西部管理区の人工林約2万6000haを対象に、航空レーザーを活用し大規模にクレジットを創出したものだ。
北海道は、道有林クレジットを販売して得た資金を活用して、北海道の森林整備を促進する。森林資源の循環利用を通じて、多様な生態系を育む豊かな森林づくりを目指す。
なお11月19日には、北海道ガスが北海道より今年度購入した道有林クレジット1万tの引き渡しと、購入に伴う証明書の贈呈式が行われた。

購入証明書贈呈式の様子(出所:北海道ガス)
環境価値の創出・調達・活用を支援
北ガスグループは、2050年カーボンニュートラルの実現を見据え、天然ガスの高度利用や省エネルギーの推進、再生可能エネルギーやカーボン・オフセット都市ガスの利用など、さまざまな取り組みを進めている。今回のJ-クレジット購入は、その一環で、低・脱炭素化を推進する重要な施策の一つと位置付けている。
また北海道ガスは、環境価値の調達から活用までを一括でマネジメントする脱炭素化支援サービスを進めている。
2024年7月に、北海道で初めて、J-クレジットを活用してカーボン・オフセットした都市ガスを、北洋銀行(北海道札幌市)の道内2拠点へ供給を開始した。同年7月には、第95回都市対抗野球大会のカーボン・オフセットへ協力し、「北ガスの森」で創出したJ-クレジットを提供した。
2025年からは、自治体や民間事業者の所有林を対象に、J-クレジットの創出を支援する取り組みを開始している。1月に北海道南富良野町と、3月にきたみらい農業協同組合(北海道北見市)、6月に美瑛町、美瑛町農業協同組合、美瑛町森林組合と、森林由来J-クレジットの創出に向けた取り組みを開始している。
このほか、4月にはカーボンクレジット活用して、事務所排出のCO2相殺・実質ゼロにする「カーボンニュートラルオフィス」の取り組みを開始。7月には、南かやべ漁業協同組合(北海道函館市)よりJブルークレジット100tを初購入している。北ガスは、それまでも、南かやべ漁業協同組合のJブルークレジット創出プロジェクトに対し、カーボンニュートラルに関する情報提供や、吸収量推計の調査費用の協賛などの支援を行ってきたが、Jブルークレジットの購入という形で、さらなる支援を行うこととした。Jブルークレジットは、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)が運営する、ブルーカーボンを定量化して取引可能なクレジットにしたものだ。
【参考】
北海道-北海道ガス株式会社へ道有林クレジット購入証明書を贈呈しました!
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/13556ae4-1653-4160-bd99-3732f8650a13