経済産業省と環境省は11月20日、「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」において、特定排出者から報告のあった2023年度の温室効果ガス(GHG)排出量の集計結果を発表した。これによると、GHGを多く排出する事業者(特定排出者)による2023年度のGHG排出量は、前年度から微増の5億8900万tCO2となった。すべての事業者からの報告情報は、同制度ウェブサイトで公表している。
特定事業所排出者の調整後排出量は約1%減
2023年度に報告を行った特定事業所排出者は1万1933事業者(1万4974事業所)で、排出量の合計は5億6058万tCO2(前年比約1%増)、調整後排出量の合計は5億2040万tCO2(同約1%減)だった。

特定事業所排出者の概要(出所:環境省)
調整後排出量は、事業者が事業活動に伴い排出したGHGの排出量を、国内認証排出削減量などの無効化量、廃棄物の原燃料使用に伴う排出量などを控除等して調整したものをいう。なお、特定事業所排出者は、「すべての事業所の原油換算エネルギー使用量の合計が1500kl/年以上」または「従業員が21人以上で、GHGの種類ごとに、すべての事業所の排出量がCO2換算で3000t以上」の事業者を指す。
特定事業所排出者の排出量は5%増
2023年度に報告を行った特定輸送排出者は1346事業者で、排出量の合計は2842万tCO2(前年比約5%増)だった。

特定輸送排出者の概要(出所:環境省)
特定輸送排出者は、輸送部門の排出量報告を行う特定排出者(省エネルギー法に基づく特定貨物輸送事業者、特定荷主、特定旅客輸送事業者、特定航空輸送事業者など)を指す。
特定排出者全体の排出量は微増
特定排出者全体の排出量は、特定事業所排出者から報告された排出量(1)と、特定輸送排出者から報告された排出量(2)を合計したもので、前述の通り、前年度より微増となった。

特定排出者全体((1)+(2))(出所:環境省)
特定事業所の業種別算定排出量、製造業が7割以上
2023年度特定排出者(特定荷主を除く)別の算定排出量内訳をみると、特定事業所排出者が95.2%を占める。
特定事業所排出者の業種別の算定排出量では、鉄鋼業が27.7%、化学工業が12.6%、窯業・土石製品製造業が8.8%など、製造業からの排出量が74.6%を占めた。

2023年度 業種別の算定排出量【特定事業所排出者】(出所:環境省)
また、2023年度の特定事業所におけるGHGの種類別の算定排出量内訳では、エネルギー起源CO2が85.4%を占めている。

2023年度 特定事業所における温室効果ガスの種類別の算定排出量内訳(出所:環境省)
排出者が自らの排出量を算定、自主的取り組みに活用へ
地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づく「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」は、温室効果ガスを相当程度多く排出する者(特定排出者)に、自らの温室効果ガス排出量を算定し、国に報告することを義務付け、国が報告された情報を集計・公表するもの。
排出者が自らの排出量を算定・認識し、自主的取り組みのための基盤を確立するとともに、排出量の情報を可視化し、国民・事業者全般の自主的取り組みを促進することを狙いとしている。
【参考】
経済産業省―温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度に基づく令和5(2023)年度温室効果ガス排出量の集計結果を公表します
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/574a676e-3c01-44a7-8829-7d592a5f4a6e