第2回脱炭素都市づくり大賞、「温故創新の森NOVARE」など5事業が受賞

環境省と国土交通省は12月16日、優れた脱炭素型の都市の開発事業を表彰する「第2回脱炭素都市づくり大賞」の受賞事業を決定し公表した。

環境大臣賞は、清水建設(東京都中央区)のイノベーション拠点「温故創新の森NOVARE」(同・江東区)が、国土交通大臣賞は、東日本旅客鉄道(同・渋谷区)グループの品川車両基地跡地におけるまちづくり「TAKANAWA GATEWAY CITY」(同・港区)が受賞した。

全国のモデルとなる取り組みを表彰

「脱炭素都市づくり大賞」は、2030年度ネットゼロに向け、優れた脱炭素型の都市の開発事業を表彰するため、国土交通省と経済産業省が共同で2024年度に創設した制度。環境大臣賞は、特に優れた脱炭素、資源循環、ネイチャーポジティブの取り組みを、国土交通大臣賞は、特に優れた緑地創出やエネルギー利用効率化、移動の脱炭素化などの取り組みを表彰する。

また、脱炭素型の都市づくりを全国に水平展開していく上で、他のモデルとなる特徴的な取り組みとして、審査委員会において、特別賞3事業を選定した。今回受賞した取り組みは、いずれも全国のモデルとなるような取り組みとして審査委員会の高い評価を得ている。

受賞事業の概要と選定理由は以下の通り。

環境大臣賞の清水建設、オープンイノベーションの場として環境技術を実証

温故創新の森 NOVARE(出所:環境省)

温故創新の森 NOVARE(出所:環境省)

環境大臣賞を受賞した清水建設の「温故創新の森 NOVARE(ノヴァーレ)」は、倉庫群だった敷地に自然環境を整備し、イノベーションと人財育成拠点として2023年11月に開業した。

5棟の建物を都市の街区と見立て敷地内で熱を相互に融通する街区熱融通システムを採用するとともに、CO2直接回収(DAC)やグリーン水素利用などの新規性の高い技術を導入。大規模開発でない中、多数のエネルギー削減、効率化の取り組みに挑戦している。また、新築全棟がZEBを達成するなどモデルケースといえる高い省エネ性能を有している。緑のない敷地に敷地面積26%の緑地・水面を創出し、ネイチャーポジティブ(ABINC・ SEGES認証)と熱中症・まちなかの暑さ対策に大きく寄与するとともに、歴史的建造物の移築・活用を通じたデコ活の推進や建設廃材アップサイクルなどの取り組みも実施されている。

「温故創新の森NOVARE」は積極的な木質化の試みが評価されて、東京都の2024年度「ウッドシティTOKYOモデル建築賞」で最優秀賞作品を受賞している。

国交大臣賞の高輪ゲートウェイPJ、新たなビジネス・文化・循環型モデルを発信

TAKANAWA GATEWAY CITY(出所:環境省)

TAKANAWA GATEWAY CITY(出所:環境省)

国土交通大臣賞を受賞した、東日本旅客鉄道(JR東日本)と、グループ会社のえきまちエナジークリエイト(東京都港区)の「TAKANAWA GATEWAY CITY」は、品川車両基地跡地における、駅と街が一体となった都心最大級のまちづくりで、2026年3月にグランドオープンする予定。

国内最大級の蓄熱槽と地域冷暖房設備の導入と敷地全体への設備洞道の整備により、敷地内と周辺の施設へのエネルギーの面的利用を行うとともに、熱の需給連携エネマネや、再エネ由来の水素サプライチェーン構築、食品廃棄物由来のビルイン型バイオガス設備などの新規性の高いエネルギー技術を導入する。大規模開発ならではのエネルギー削減、効率化に取り組んでいる。また、約2.7haの緑量をはじめ良質な都市緑地の創出に寄与する取り組みや、物流効率化、オンデマンドモビリティの実証運行などの移動の低炭素化に寄与する取り組みも実施されている。

地方都市・小規模都市に普及しやすいモデルを評価

アドバンテック(東京都千代田区)の地域活性プロジェクト「糸プロジェクト」(愛媛県西条市)は、他の地方都市において目指すべきモデルとして特別賞を受賞した。ホテルやマルシェが立ち並ぶ商業ゾーンと、戸建て住宅で形成された住宅ゾーンで構成される都市開発事業で、省エネ、再エネなどの取り組みによる優れた脱炭素効果に加え、賑わいや経済効果を生み出している。省エネ、再エネでは、国内ホテル初のZEB認証と高い省エネ性能を有しているとともに、大規模太陽光発電(約540kW)と自営線マイクログリッドと大型蓄電池とEMS導入によるエネマネなどエネルギー削減、効率化などに取り組んでいる。

このほか、スマートソーラー(東京都中央区)と福島県広野町、明豊ファシリティワークス(同・千代田区)と長野県箕輪町が、PPA方式によるマイクログリッド構築事業で特別賞(小規模都市チャレンジモデル)を受賞した。

広野町の事業は、町所有施設や遊休地、駐車場を有効活用した大規模太陽光発電設備を核としたマイクログリッド構築事業で、東日本大震災被災地である広野町において、災害レジリエンス強化や住民参加型の教育・意識啓発、地域経済の活性化なども同時に推進している。2026年3月に事業を完了する予定。

脱炭素型の都市づくりを促進

世界の温室効果ガス排出量は7割、エネルギー需要量は6割以上を都市活動が占めている。日本が表明している2030年度温室効果ガス46%削減や2050年ネットゼロを達成するには、都市分野での脱炭素移行に向けた取り組みが不可欠となる。

国交省と経産省は、同表彰制度を通じて脱炭素型の都市づくりの促進を目指す。第2回となる2025年度は、6月27日~8月29日に募集した事業の中で、学識経験者など有識者で構成される審査委員会での審査を踏まえ、各賞を決定した。表彰式は2026年1月15日に開催される。

【参考】
環境省―優れた脱炭素型の都市の開発事業を表彰します~第2回脱炭素都市づくり大賞の受賞事業の決定と表彰式の開催について~

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/2a7bf903-de45-4899-9c53-bc523bb21e57

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. 積水化学と五洋建設、CO2吸収被覆シート開発 目視による状態確認が可能

  2. 商船三井、欧州グリーン回廊開発に参画 低炭素燃料を活用

  3. 大光銀と伊藤忠丸紅鉄鋼、脱炭素経営支援サービス開始 新潟の地域企業向けに

  4. 世界初のUNFCCCパリ協定認可ITMOをスリナムで発行:熱帯雨林保護とカーボンクレジット市場の新たな一歩

  5. IHI、航空機向け新真空ポンプ開発 燃費を改善しCO2排出量を削減

  6. 未来へ挑戦する次世代コンビニ 万博会場に2店舗 セブン‐イレブン

  7. 日本館排出のCO2からメタン製造 大阪ガスが万博会場で実証

  8. 恵那電力、カーボンオフセット「栗きんとん」開発 4万個で1tのCO2相殺

  9. 佐賀市、廃食油を市の脱炭素化に活用 田中鉄工が企業版ふるさと納税で支援

  10. アマゾン、エクソンモービル、マイクロソフトが協力し、自主炭素市場を強化

  11. 新しい研究によると、建築資材は年間160億トン以上のCO2を貯蔵できる可能性がある

  12. ENGIE が Meta を強化: 新たな 260 MW の太陽光発電契約がネットゼロ目標の推進力に

  1. 京都議定書|用語集・意味

  2. 【気候変動と脱炭素ビジネス①】日本人が知らない環境危機と地球に配慮したクリーンなビジネスとは?

  3. 天然ガスを原料に1日1.7トンの水素を製造可能 カーボンニュートラル実現に向けて製造プラントが完成

  4. 大阪ガス脱炭素社会の実現へ 研究拠点を大阪に開設 二酸化炭素の年間排出量1000万トン削減目標

  5. 森林再生 (Afforestation/Reforestation, A/R)|用語集・意味

  6. グリーン成長戦略とは|用語集・意味

  7. 【超入門】世界の一流企業が本気で買い求める「カーボンクレジット」って何?(Apple/ディズニー/マイクロソフト/脱炭素/気候変動)

  8. カーボンクレジット (Carbon Credit)|用語集・意味

  9. グリーン電力証書とは|用語集・意味

  10. 【政府】2040年に向け脱炭素化など国家戦略策定へ

  11. 削減プロジェクト (Reduction Project)|用語集・意味

  12. カーボンクレジット市場の包括ガイド~基本概念から投資戦略まで~

  1. コンプライアンス市場 (Compliance Carbon Market)|用語集・意味

  2. バイオマスとは|用語集・意味

  3. 持続可能なファイナンス (Sustainable Finance)|用語集・意味

  4. グリーンエネルギー (Green Energy)|用語集・意味

  5. 【気候変動と脱炭素ビジネス②】日本の課題はトヨタと原子力発電所

  6. カーボンニュートラル (Carbon Neutral)|用語集・意味

  7. グリーン電力証書とは|用語集・意味

  8. キャップ・アンド・トレード (Cap-and-Trade)|用語集・意味

  9. 削減プロジェクト (Reduction Project)|用語集・意味

  10. 再生可能エネルギーとは|用語集・意味

  11. 来月、閉鎖されるENEOSの和歌山製油所の跡地が、脱炭素社会のモデル地区として再整備されることになりました。

  12. カーボンフットプリント (Carbon Footprint)|用語集・意味