新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は4月8日、「ムーンショット型研究開発事業」に参画する、地球環境産業技術研究機構(RITE)、九州大学および名古屋大学が、大阪・関西万博において、CO2を直接回収する技術DACの実証試験を行うと発表した。このうちRITEの取り組みは、回収したCO2を都市ガスに変換し利用する世界初の試みとなる。
RITE開発の最新鋭DAC実機を活用
実証の手順としては、万博会場の「カーボンリサイクルファクトリー」で、RITEのDAC実証機により、大気中から1日当たり300~500kgCO2を回収。回収したCO2の一部を、同敷地内のメタネーション設備に直接供給してe-メタンと合成し、会場内の迎賓館厨房などに都市ガスとして供給する。
RITEは現在、大気中の低濃度CO2(400ppm、0.04%)を高効率に分離回収する技術の開発に取り組んでいる。実証では、開発したCO2固体吸収材を実機サイズの機器に使用し評価を行う。また、3台の実証機を用いて24時間連続運転を実施し、DACの大型化・実用化に向けデータを収集する。
この実証について、NEDOは、DACでの回収から連続して都市ガスに変換・実利用する取り組みは世界でも最先端な試みであるとし、化石燃料の使用量削減につながるだけでなく、資源問題を解決する一助にもなり得ると、取り組みの意義を強調している。
「RITE 未来の森」では、名大・九大によるDAC実証も
ムーンショット型研究開発事業として実施中の「大気中からの高効率CO2分離回収・炭素循環技術の開発」の実証設備は、「RITE 未来の森」として、大阪・関西万博の「未来社会ショーケース/グリーン万博」に出展される。
「RITE 未来の森」では、名古屋大学による冷熱を利用した大気中CO2直接回収の研究開発プロジェクト、九州大学の『ビヨンド・ゼロ』社会実現に向けたCO2循環システム研究開発プロジェクトのDAC実証も行われる。
「カーボンリサイクルファクトリー」と命名し、最先端の取り組みを国内外に向け発信
「RITE 未来の森」を含めたCO2回収からメタネーションまでを展示するエリアは、「カーボンリサイクルファクトリー」と命名された。同エリアでは、CO2供給源として、e-メタン燃焼後の排ガスから回収したCO2も再利用する。
「RITE 未来の森」では、カーボンリサイクルファクトリー全体の実証実験の様子を、一般向けツアーに向け公開する。実証機の見学や3D映像を用いた説明などを行い、技術を国内外に広く発信していく。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/2c9a072f-2681-43a1-a8e0-766b9c79ba0a