住友林業、「森空プロジェクト」参画 SAF向けバイオ燃料製造へ国産材供給

住友林業(東京都千代田区)は9月30日、「森のチカラを空飛ぶチカラに」をスローガンに、国産材由来の低炭素バイオエタノールの製造を推進する「森空(もりそら)プロジェクト®」に参画すると発表した。

このプロジェクトでは、SAF(持続可能な航空燃料)向け原料となるバイオエタノールの製造に向けて、国産材のCORSIA認証取得を目指しており、住友林業は原料供給の面から支援する。

原料となる国産材の安定調達に貢献

住友林業は、森空プロジェクトを展開する、森空バイオリファイナリー(東京都千代田区)と、国産材由来のバイオエタノールの製造・販売事業での提携に向けた基本合意書を締結した。

新たに住友林業がプロジェクトに参画し、純国産バイオエタノールの原料となる国産材の一部調達を担い、安定的な原料調達に貢献する。SAFなどの原料となる国産材由来のバイオエタノールの普及を通して、新たな木材利用の創出や、資源循環による脱炭素社会の構築、地域の活性化、持続可能な未来の実現に取り組んでいく。

CORSIA認証は、国際航空業界で温室効果ガス排出削減を目指す枠組みで、CORSIA SAFとして使用するには原料や燃料転換プロセスなど一定要件を満たし、CORSIA適格原料として認証を取得する必要がある。

森空プロジェクトのロゴ(左)と木材からバイオエタノール製造の流れ(右)(出所:住友林業)

森空プロジェクトのロゴ(左)と木材からバイオエタノール製造の流れ(右)(出所:住友林業)

森空プロジェクトとは

「森空プロジェクト」は、2023年2月に、日本製紙(東京都千代田区)、住友商事(同)、Green Earth Institute(GEI/東京都新宿区)が立ち上げた。GEIが開発した低炭素・低コストを実現できるバイオエタノール生産プロセスを用いて、国産材由来のバイオエタノールの製造を進めている。

2025年3月には日本航空(東京都品川区)とエアバス社が森空プロジェクトに参画。2025年7月には日本製紙・住友商事・GIの3社が出資し、バイオエタノールを製造する「森空バイオリファイナリー」設立した。

森空バイオリファイナリーでは、宮城県にある日本製紙岩沼工場内にセミコマーシャルプラントを建設し、製材端材などの東北地域の持続可能な森林資源を原料に、2027年から年産1000kl以上のバイオエタノールを製造する予定。その後、日本において、SAFの本格的な導入・普及が見込まれる2030年頃をターゲットに、年産数万kl以上のバイオエタノールとバイオケミカル製品の製造が可能となる、コマーシャルプラントの稼働を目指している。

バイオリファイナリー事業を推進

住友林業は、森林経営から木材建材の製造・流通、不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開している。植物や農作物などのバイオマスを原料に化学品や燃料を作り出す、バイオリファイナリー事業も推進しており、2023年11月にGEIと業務資本提携契約を締結し、木質バイオマスを原料とするバイオケミカル製品について研究開発に取り組んでいる。2024年1月には新事業開発部バイオリファイナリー推進室を新設し、バイオリファイナリー技術の開発やビジネスモデルの検証を進めている。4月には、レンゴー(大阪府大阪市)と、木質由来のバイオエタノール生産で協業を開始することを発表している。

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/290670c4-a332-4828-92bf-654254b49169

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. 東電JV、カーボンクレジットNFTを創出する実証実験

  2. 都キャップ&トレード制度、23年度CO2排出31%減 義務率以上を継続

  3. キリンと日立、良質な森林由来カーボン・クレジット創出に向け共同研究

  4. 東北電力、農業由来クレジット活用 農業支援と脱炭素推進の地域モデルを提示

  5. 出光興産、CO2排出量ゼロに挑む「出光カーボンオフセットfuel J」の試験販売を開始

  6. 東京スカイツリー、ライティングのCO2排出量をカーボンクレジットでオフセット

  7. シンビオシス連合、森林プロジェクトのための初の共同RFPを開始

  8. 「二国間クレジット制度」を農業分野で初めてフィリピンに導入

  9. トランプ氏の勝利は炭素管理にどのような影響を与えるでしょうか?

  10. 商工中金、国内初・J-クレジット預金開始 預金5000万円で5t相殺

  11. COP29: ASEAN諸国が共通の炭素市場枠組みを構築

  12. 日産、自動車業界初・再エネ100%電気の販売開始 まずは神奈川県で

  1. 直接空気回収技術(DAC)とは|用語集・意味

  2. “現代のゴールドラッシュ”とも言われる動きを取材しました。また、日本では、空気中の二酸化炭素を取り除く技術の開発が始まっています。

  3. コンプライアンス市場 (Compliance Carbon Market)|用語集・意味

  4. 温室効果ガス排出量 (GHG Emissions)|用語集・意味

  5. カーボンファーミングとは|用語集・意味

  6. カーボンニュートラルとは|用語集・意味

  7. 炭素予算 (Carbon Budget)|用語集・意味

  8. トレーディングプラットフォーム (Trading Platform)|用語集・意味

  9. グリーントランスフォーメーション(GX)|用語集・意味

  10. カーボンニュートラル (Carbon Neutral)|用語集・意味

  11. 炭素回収・貯留 (Carbon Capture and Storage, CCS)|用語集・意味

  12. クリーンエネルギー|用語集・意味

  1. 【気候変動と脱炭素ビジネス②】日本の課題はトヨタと原子力発電所

  2. 土地利用変化とは|用語集・意味

  3. トレーディングプラットフォーム (Trading Platform)|用語集・意味

  4. キャップ・アンド・トレード (Cap-and-Trade)|用語集・意味

  5. ネットゼロ (Net Zero)|用語集・意味

  6. カーボンファーミングとは|用語集・意味

  7. 来月、閉鎖されるENEOSの和歌山製油所の跡地が、脱炭素社会のモデル地区として再整備されることになりました。

  8. 削減プロジェクト (Reduction Project)|用語集・意味

  9. 国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)とは|用語集・意味

  10. カーボンクレジット市場の包括ガイド~基本概念から投資戦略まで~

  11. 温室効果ガス (Greenhouse Gas, GHG)|用語集・意味

  12. グリーン成長戦略とは|用語集・意味