公益財団法人自然エネルギー財団は12月20日、政府による第7次エネルギー基本計画の原案発表を受けて、声明を発表した。脱炭素の失敗や高コスト化は日本の競争力を損なう危険な選択になるとし、エネルギー効率改善と自然エネルギー最大化の道を目指すべきと述べた。
自然エネルギー最大化に背を向ける目標設定と警告
12月17日に経産省の基本政策分科会で発表された原案では、2040年に2013年比でGHG排出量を73%削減するというエネルギー需給の見通しが示された。
国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では、「2030年までに自然エネルギー設備容量の3倍化」「エネルギー効率の改善率の2倍化」という世界目標を打ち出したが、政府が基本計画案で示した内容は、この2つの方策を中核に据えていないと指摘する。
特に、同財団が問題視しているのが、太陽光発電とともに電力供給の中心になるべき風力発電の発電割合の低さだ。原案では、自然エネルギーによる供給を4~5割程度、風力発電は全体の4~8%程度としている。
政府は重点項目として浮体式も含め洋上風力発電の推進を掲げているが、このような低レベルの目標では、世界の風力発電産業と投資を日本市場に呼び込むことが困難になると強調した。
原発、火力活用については課題が残ると指摘
また、原案では、2040年に原子力発電による供給量を2割に、火力発電を電力の3、4割とする方針を示している。
原発については、2040年時点での新設原子炉の稼働を見込むことは現実的ではなく、再稼働を控える原子炉を活用したとしても不十分であると分析する。また、火力発電についても、脱炭素化に関する記述は曖昧であり、技術的に確立されていない脱炭素化火力発電に3~4割もの電力供給を見込むのは、日本の脱炭素化を失敗させる大きなリスクだと、警鐘を鳴らす。
自然エネルギー最大化に向けた戦略の練り直しを要求
同財団が公表した最新シナリオによると、日本には2040年に電力の90%以上を自然エネルギーで供給できる十分なポテンシャルがあり、大量の変動型電源を使っても電力の安定供給を実現できるという。
電力価格に関しても、安定的な水準とすることが可能であるとし、政府に対しては、エネルギー効率改善と自然エネルギー最大化を実現する戦略の策定と、それを実現する具体的な施策、制度改革を進めることを要求した。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/d6261ad4-5dc5-4dc6-9647-7ba1765ee9d1