山形県は7月10日、簡単な質問に答えるだけで個人の1年間のCO2排出量を計測できるツール「デカボMYスコア」を導入すると発表した。同日、このツールと連動したイベントなどを知らせるウェブサイトも公開。県民に、日々の生活による環境への影響を知ってもらい、地球温暖化の問題を『自分ごと』として捉え、県民主体の脱炭素アクションを活性化することを目指す。
「ゼロカーボンやまがた2050」の一環
山形県では、2050年までにGHG排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンやまがた2050」の実現に向け、県民一人ひとりの脱炭素アクションにチャレンジする「カーボンニュートラルやまがた県民運動」を2021年度から実施している。
今回、生活者共創型プラットフォームを展開するEarth hacks(東京都渋谷区)と協働で、県民が気軽に脱炭素アクションへ参画する接点を提供し、脱炭素社会の実現を目指す取り組みを本格的に展開する。
具体的には、脱炭素への個人の貢献度合いをスコア化したEarth hacks独自の計測ツール「デカボMYスコア」の導入を皮切りに、同ツールを活用・周知するためのスポーツ・文化イベントとの脱炭素連携イベントの開催、ローカルTVメディアとの合同キャンペーン、インフルエンサーを活用した若年層へのアプローチを実施する。

「デカボMYスコア」(出所:Earth hacks)
県内スポーツ・文化イベント
このプロジェクトでは、プロサッカークラブの「モンテディオ山形」をはじめとする県内のスポーツクラブや山形交響楽団などと協力し、イベント会場で「デカボMYスコア」を体験してもらうブースを出展する。ブース来訪者には、脱炭素アクションにつながるノベルティをプレゼントするなどエンターテインメント性を持たせることで、楽しみながらカーボンニュートラルについて学び、脱炭素アクションにチャレンジする機会を提供する。
その第1弾として、8月16日に開催される「モンテディオ山形」と「.いわきFC」の試合で、イベントを開催する。

モンテディオ山形とのキャンペーンも実施(出所:Earth hacks)
地元TV局との合同キャンペーン
ローカルTVメディアとの合同キャンペーンでは、県内の民放4局と合同チームを結成し、各局アナウンサーが出演するテレビCMを順次放映する。多くの県民に、「デカボMYスコア」を認知してもらうとともに、「カーボンニュートラルやまがた県民運動」を浸透させる。さらに、幅広い年代に対して訴求するため、SNSを活用した情報発信を行う。インフルエンサー目線で、「デカボMYスコア」の計測結果や日々の生活で取り組んでいる脱炭素アクションなどを投稿することで、SNSユーザー層に対しても脱炭素アクションへのチャレンジを促す。
現状を数値で把握、行動変容を促す
山形県では、「デカボMYスコア」で、脱炭素(デカボ)への個人の貢献度合いをスコア化することで、県民一人ひとりが現状を数値で把握し、自分が取り組むべき具体的な脱炭素アクションを考えることをサポート。無理なく、楽しみながらカーボンニュートラルについて学 び、脱炭素アクションにチャレンジする機会とする考え。
一方、Earth hacksは、今後、山形県への「デカボMYスコア」の普及を通じて、計測された個人の年間CO2排出量データを市町村別のデータとしてマップ上で可視化し、各市町村の脱炭素への取り組み状況が一目で分かる仕組みを提供する。この仕組みにより、県民が現在の排出状況を数値で把握し、より具体的で継続的な削減目標の設定と達成を後押しする。また、今後も他の自治体との連携を加速し、全国規模での生活者行動変容プラットフォームの構築を目指す。
「デカボMYスコア」とは
国連とスウェーデンのインパクトテック企業・Doconomy社が共同開発したツールをベースに、生活者一人ひとりの行動によって排出されるCO2相当量を計測することができるソリューションツール。移動手段、ショッピング、住居、食事の4つの観点から、およそ10問の簡単な質問に答えることで、個人の年間CO2相当排出量を算出する。
Earth hacksは、「デカボMYスコア」や、商品ごとに従来製品と比較したCO2削減率を表示する「デカボスコア」を提供。6月、「デカボMYスコア」を使用した都道府県別のCO2排出量の調査結果を発表した。これによると、個人当たりの年間CO2排出量が最も少ない「デカボ」な都道府県は、栃木県(4.32t)だった。
【参考】
山形県―山形県民のCO2排出量を見える化! デカボMYスコアを導入したウェブサイト「カーボンニュートラルやまがた」をオープンします
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/e34171c8-32cf-4feb-9e28-a6a790f7398f