山梨県は6月2日、県有林が吸収するCO2をJ-クレジットとして創出するための三井物産(東京都千代田区)を協定を締結したことを明らかにした。両者は、CO2吸収量の算定や申請・取得など必要な手続きを共同で行い、2025年度中のプロジェクト登録と、2026年度からの販売開始を目指す。創出するクレジットは128万t−CO2を見込んでおり、「FSC認証」を取得した森林由来としては国内最大規模となる。
森林活動由来のJークレジットを創出
両者の協定期間は、2025年5月22日から2036年3月15日まで。事業における両者の役割は以下の通り。
- 山梨県:適切な森林整備の実施/森林情報および航空レーザーデータの提供
- 三井物産:クレジット創出に係るプロジェクト計画書の作成・登録/CO2吸収量の認証手続き/県取得クレジットの販売支援

2025年5月22日に実施した協定締結式の様子(出所:山梨県)
収益は森林整備へ還元 環境と企業価値の向上へ
山梨県は、面積の3分の1にあたる14.5万haの県有林を有しており、2003年には国際的な森林認証制度であるFSC認証を取得し、持続可能な森林管理を推進している。
クレジット創出の方法のうち森林に関する方法は(1)森林経営活動(2)植林活動(3)再造林活動の3つがあり、今回のプロジェクトでは、間伐などの森林経営活動を実施することにより吸収するCO2量のクレジット化に取り組む。
クレジットの販売により得られた資金は県有林の森林整備に活用し、CO2排出量のオフセットと同時に人工林の適切な管理を支え、天然林が持つ資源を守り、地域環境や生物多様性の保護にも寄与するという。
「三井物産の森」のノウハウ活かす
三井物産は、自社が所有する「三井物産の森」で培ったJ-クレジット創出のノウハウを活かし、全国の自治体や共同での展開を進めている。例えば、2023年12月には、同社とおかやまの森整備公社(岡山県津山市)の共同プロジェクトで創出したJークレジットをマツダ(広島県府中町)と売買契約を結んだ。
三井物産は今回の協定により、山梨県の森林を一層持続可能なものにすることを目指すとしている。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/4e070b82-fcc3-4637-af3a-65ba1668ee96