環境省は11月7日、「自然共生サイト」活動の支援制度に関して、本格運用開始後、初めて10社に支援証明書を発行したと明かした。企業は、同証明書を、ネイチャーポジティブ経営移行時の訴求に活用できる。
人的支援や技術的支援などの取り組みで取得
今回、支援証明書を発行した企業のうち7社は、2024年度に実施した試行版からの切替申請となる。
取得企業の1社であるトランスコスモス(東京都豊島区)は、大分県の田島山業の保有する森林「みんなの森」(大分県日田市)におけるネイチャーポジティブを具現化する森林管理の取り組みで取得。
ウェザーニューズ(千葉県千葉市)は、千葉市の「堂谷津の里」内における里山林管理などに関する人的支援と渇水緩和策検討を目的とした、気象IoTセンサー設置などの技術的支援で取得となった。この取り組みには、里山林管理や水田整備、無農薬の米作り、気象IoT観測、生物調査などに延べ100名が参加。ゾーニング管理による植生改善や渇水緩和策の実証、生物多様性の維持・モニタリングなど生物多様性保全に向けた施策を実施した。
次回の証明書発行の申請受付は、2025年12月1日~2026年1月30日まで。証明書発行は2026年3月の予定。募集概要は、環境省「30by30」ウェブサイトで確認できる。

2025年度「支援証明書」発行対象者一覧(出所し環境省)
ネイチャーポジティブ活動拡大に向けたインセンティブ施策の一環
環境省は、ネイチャーポジティブ実現に向け、企業の森や里地里山、都市の緑地など、民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を「自然共生サイト」として認定している。
同自サイト認定促進や認定後の管理の継続・質の向上には、保全活動を実施する主体への経済的・人的支援などが重要となる。
そこで、活動への積極参加のインセンティブ施策として、自然共生サイトの質の維持・向上に必要な支援を行った企業などに対し、国が自然共生サイトに係る支援証明書を発行する制度を2025年度に開始した。
同制度は、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)やIRなどの投資家向け情報開示などへの活用を念頭に設計されている。
【参考】
環境省―自然共生サイトに係る支援証明書の発行について
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/7d8fcc67-f8fb-4652-a25e-1ce4f8fe9efd