環境省は10月3日、日本とモルドバ間の二国間クレジット(JCM)制度の第1回合同委員会と、モルドバにおけるJCMの普及拡大を目的とした「モルドバJCMセミナー」を開催し、その結果を発表した。
合同委員会でガイドライン採択
9月25日の合同委員会では、JCMに係る規則とガイドライン類を採択した。これに基づき、今後は、モルドバでJCMプロジェクトが実施できる。
9月26日に開催されたセミナーでは、モルドバ政府からは同国における気候変動対策についての説明が行われた。一方、日本は、JCMの最新動向や政府支援事業について解説した。
また、日本国内企業が、モルドバで実施中のメタン発酵に関するJCM実証の前調査や、同国ににおいて潜在的な可能性があるバイオガスや省エネに関するJCMの取り組みを紹介した。Q&Aでは、具体的にJCMプロジェクト形成を進める上でのプロセスについての質問など、JCMプロジェクト実施を念頭に議論した。
このほか、今回の合同委員会では、JCMとパリ協定第6条に関する取り組みについて情報交換とともに、日本政府のJCM資金支援事業が紹介された。
今回採択されたJCMに係る規則やガイドライン類、ミーティングの詳しい内容は、リポートとしてJCMウェブサイトに順次掲載される。
今年度はSDGインパクトジャパンらが事業を実施
モルドバは東欧に位置する旧ソ連の構成国で、日本政府とモルドバ政府は、2022年9月にJCMの構築に関する協力覚書に署名し、モルドバは21カ国目のJCMパートナー国となった。
2024年度のモルドバ事業では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「JCM等を活用した低炭素技術普及促進事業/低炭素技術による市場創出促進事業(実証前調査)」として、SDGインパクトジャパン(東京都千代田区)とトーヨーエネルギーソリューション(同・港区)による「エタノール醸造工場における廃棄物エネルギー利用のためのメタン発酵システム実証事業」が採択されている。
用語解説
二国間クレジット制度(JCM)とは、パリ協定第6条に沿って、パートナー国(途上国など)への優れた脱炭素技術などの普及や対策実施を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価するとともに、日本のNDCの達成に活用する制度。
地球温暖化対策計画(2021年10月22日閣議決定)では、JCMを構築・実施し、2030年度までに累計約1億トンのCO2排出削減・吸収量を目指すとしている。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/454aae81-d1e9-497d-b0a3-1beae1a60ed7