2024年のCO2年増加量は観測史上最大、主要温室効果ガス濃度も最高に

気象庁は10月16日、世界気象機関(WMO)に報告される観測データを解析した結果、大気中の主要な温室効果ガス(CO2・メタン・一酸化二窒素)の濃度が引き続き増加し、2024年の世界平均濃度はいずれも観測史上最高を更新したと発表した。

特にCO2の年増加量は観測史上最大となった。WMOは、CO2の増加率の上昇について、自然変動と化石燃料由来のCO2の継続的な排出の組み合わせによるものと考えている。

WDCGGの解析史上、最高値濃度

気象庁は、WMOの要請に基づき運営するWMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)において、2024年までの大気中における世界の温室効果ガス濃度を解析した。

最新の解析によると、2024年のCO2、メタン、一酸化二窒素の現場観測ネットワークによる地上での世界平均濃度は、それぞれ、423.9±0.2ppm、1942±2ppb、338.0±0.1ppbとなり、解析開始以来の最高値を更新した。これらの値は工業化以前の、それぞれ152%、266%、125%にまで増加している。

WMOは、CO2の記録的な年増加量について、2023年春から2024年春に発生したエルニーニョ現象による高温と乾燥により、生態系による炭素吸収量が減少したことと、干ばつによる大規模火災により大気中へのCO2の排出量が増加したことが要因と分析している。

(出所:気象庁)

(出所:気象庁)

主要温室効果ガスの2024年の世界平均濃度と増加量

二酸化炭素
CO2
メタン
CH4
一酸化二窒素
N2O
2024年の世界平均濃度 423.9±0.2 ppm 1942±2 ppb 338.0±0.1 ppb
前年からの増加量 3.5 ppm 8 ppb 1.0 ppb
最近10年間の平均年増加量 2.57 ppm/年 10.6 ppb/年 1.07 ppb/年

※ppmは大気中の分子100万個中、ppbは10億個中にある対象物質の個数を表す単位。(出所:気象庁)

WMOの報告書はCOPで基礎資料として使用

WDCGGは、温室効果ガスやエーロゾル、オゾンなど地球環境の長期的な監視を行う、WMO全球大気監視(GAW)計画の下に設立されており、全世界から報告される温室効果ガス観測データを収集・提供している。WDCGGは収集したデータを利用して様々な解析を行う。

今回の結果は、WMOが10月15日に公表した「温室効果ガス年報(Greenhouse Gas Bulletin)第21号」(英語ページ)に掲載されている。気象庁は、この年報の気象庁による和訳概要版をウェブサイトに掲載した。

このWMO温室効果ガス年報は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議(COP)において温室効果ガスの現状を把握する基礎資料として使用される。次回の第30回締約国会議(COP30)は、11月10日から11月21日にかけて、ブラジル・ベレンで開催される予定。

【参考】
気象庁―2024年の二酸化炭素の年増加量は観測史上最大

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/3b02fd7e-3c99-479a-bb22-a9786c9c31d4

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