農林水産省は10月1日、建築物の木造化や木材利用の効果の見える化に取り組む「『森の国・木の街』づくり宣言」に参画する自治体・企業・団体の募集を開始する。2026年4月に施行予定の改正GHG排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)において、自らのGHG排出量から木材利用による炭素貯蔵量を差し引いて報告することが可能になることを受け、企業らの脱炭素にむけた取り組みの契機として実施する。
木材利用は地球温暖化の防止に貢献
「『森の国・木の街』づくり宣言」とは、本格的な利用期を迎えている森林資源を循環利用し、街の木造化を進める「森の国・木の街」の実現に向けて、自治体や企業などが、建築物の木造化などの木材利用の推進や、木材利用の効果の見える化に取り組むことを宣言するもの。
この宣言に参画した自治体・企業は、同省のウェブサイトで紹介され、同省から関連情報の提供などが行われる。また、宣言について自社のウェブサイトや名刺などに記載することで、取り組みをPRできる。募集期間は2026年3月31日まで。

『森の国・木の街』づくり宣言」概要(出所:農林水産省)
SHK制度で木材利用の効果を新たに位置付け
同省は、森林資源を循環利用し、全国で街の木造化を進める「森の国・木の街」づくりを推進するため、地球温暖化対策推進法に基づくSHK制度において、木材利用の効果が新たに位置付けられる方向性を取りまとめた。
具体的には、木材を使った建築物などを新築などにより所有することとなった企業や自治体が、自らの温室効果ガス排出量から、その木材利用による炭素貯蔵量を差し引いて報告することができるよう規定を改正する。

木材利用による炭素貯蔵効果をSHK制度に新たに位置付け(出所:林野庁)
施行は2026年4月予定しており、今回の制度改正により、主に企業などが所有するオフィスや店舗、倉庫などの非住宅分野や賃貸マンションにおける木造化・木質化促進が期待される。

SHK制度で木材利用による炭素貯蔵量等の報告が可能になる建築物(出所:林野庁)
国土の約7割を森林が占める森林国である日本において、豊かな森林資源を次世代に継承するには、「植えて、育てる」、さらに「使う」ことによる森林資源の循環利用が不可欠となる。特に、木材を建築物に活用することで、森林が吸収したCO2を都市に長期間固定することができ、木材は製造時のCO2排出量が少ないことから、木材利用は地球温暖化の防止に貢献する。
【参考】
農林水産省―「『森の国・木の街』づくり宣言」に参画する自治体・企業等の募集を開始します
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/9a44d887-55d2-4103-a1e0-3ab2783db7a2