JERA(東京都中央区)と川崎重工業(同・港区)は6月19日、神奈川県横須賀市の横須賀火力発電所で、2030年までにCCUSの実証を開始すると発表した。東京湾の石炭火力発電所でCO2分離・回収設備を設置するのは、今回が初めて。
川崎重工の最新鋭CO2分離・回収設備を活用
実証では、JERA子会社のJERAパワー横須賀合同会社(神奈川県横須賀市)が運営する横須賀火力発電所に、川崎重工が開発した最新鋭のCO2分離・回収設備を導入する。
同設備は、CO2分離・回収技術に固体吸収剤を用いる。固体吸収剤により排ガス中のCO2を吸収し、60℃の低温蒸気を吹き込みCO2を回収する仕組みで、「Kawasaki CO2 Capture(KCC)」と呼ばれている。
KCCは、発電所や産業プラントなどの廃熱を利用して蒸気を生成することで、CO2分離・回収にかかるコストを低減できる。川崎重工業は現在、同様の実証を別の石炭火力発電所でも実施している。
横須賀火力発電所では今後、2030年度までに川崎重工のCO2分離・回収設備をパイロットスケールで設置し、火力発電によって排出される排ガスに含まれるCO2の分離・回収から有効利用に至るまでの実証を行う予定だ。

CCUSおよびCO2分離・回収のイメージ(出所:JERA)
JERA、火力発電所でアンモニア20%転換に成功
JERAは、2050年までに排出されるCO2排出実質ゼロの実現に向け、再エネ拡大と火力のゼロエミッション化を推進している。このうち火力発電の取り組みでは、2024年6月に愛知県碧南市の「碧南火力発電所」(4号機)で、世界初の大型商用石炭火力実機でのアンモニア20%転換の実証に成功した。同社はこの実証成功を受け、石炭火力の不需要期における稼働抑制や2030年度までの全台停廃止、国内外でのCCUSなどの検討を加速させる方針だ。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/9dd3b59c-e45f-41c7-9e2f-3c0ea531bec7