高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の開発・製造・販売を手がけるTOWING(愛知県名古屋市)は5月29日、シリーズB投資ラウンドで約19.4億円を調達したと発表した。今回の資金調達により、累計調達額は約29.5億円を超えた。
サントリーと、緑茶粕を原料とした高機能バイオ炭の実用性を検証
調達手段としては、三菱UFJキャピタル(東京都中央区)らを引受先とする第三者割当増資のほか、あおぞら企業投資(同・千代田区)のベンチャーデット、愛知県信用農業協同組合連合会(JA愛知信連/愛知県名古屋市)の融資を活用した。増資では、既存投資家のBeyond Next Ventures(東京都中央区)、京都キャピタルパートナーズ(京都府京都市)がそれぞれ運営するファンド、東邦ガス(愛知県名古屋市)に加え、新たにサントリーホールディングス(大阪府大阪市)など9者が加わった。
このうちサントリーグループとTOWINGはサントリーグループのサプライチェーンから発生する製造残渣を原料とした高機能バイオ炭の実用性に関する実証実験を開始した。
使用する高機能バイオ炭は、サントリーの製造工程から出た飲料残渣(緑茶粕)を炭化したバイオ炭をベースに製造したもの。実証では、緑茶や紅茶に使用されるチャノキを栽培するサントリーの契約農場において、通常の有機肥料使用栽培と高機能バイオ炭を散布した上での有機肥料使用栽培を行い、農作物に与える影響を比較する。
すでに完了している第1期収穫では、高機能バイオ炭を散布した農地において、農作物は通常時と同等の質を維持しつつ、収穫量が増加することを確認済みだという。第2期以降も同様の手順で進め、高機能バイオ炭の効果や栽培効率向上に関する条件を検証するとともに、従来の農業手法と同等の収穫率が期待できる再生農業手法の確立を目指す。また、将来的には、サントリーのサプライチェーンで生じるその他の製造残渣からも高機能バイオ炭を製造し、アップサイクルの拡大・推進を図る方針だ。

品質・収穫量向上に寄与する宙炭(出所:TOWING)
グローバルで実証を重ねるTOWINGの宙炭
宙炭は、TOWING独自のバイオ炭前処理技術と微生物培養技術を、農研機構が開発した技術と融合させて実用化した土壌改良資材。土壌の健康(ソイルヘルス)を向上させ、減化学肥料・有機転換の促進、作物の品質・収穫量向上などの機能を備える。TOWINGは同バイオ炭を活用し、北海道(野村證券グループらとの実証)やメキシコ(長瀬産業らとの実証)など世界各地で実証を行っている。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/2fdb4518-9879-489e-9dd1-9e55620431bb