三菱商事、米エクソンモービルのクリーン水素・アンモニア製造事業へ参画検討

三菱商事(東京都千代田区)は9月13日、米国石油大手のエクソンモービルが米国で推進するクリーン水素・アンモニア製造プロジェクトへの参画と、アンモニアの引き取りについて、検討を開始すると発表した。

このプロジェクトでは、米国テキサス州ベイタウン複合施設において、年間約90万トンのクリーン水素と、その水素の一部を原料とした年間約100万トン以上のクリーンアンモニアの製造を計画している。実現すれば世界最大規模の製造拠点になる。

また、製造時に排出されるCO2の約98%を回収することで極めてカーボンフリーに近い低炭素水素と低炭素アンモニアを製造する。

2025年の最終投資決定、2029年の製造開始を目指し検討を進めており、高い操業水準を保ちつつ、信頼性の高い低炭素エネルギー源を顧客に提供することを目指している。

今治市の「燃料アンモニア導入・利活用協議会」事務局長として

三菱商事は、愛媛県今治市所在の波方ターミナルのクリーンエネルギー供給拠点化に向けた検討を行う「波方ターミナルを拠点とした燃料アンモニア導入・利活用協議会」の事務局を務めている。

同協議会での検討を通じ、保有するLPG基地の一部をアンモニアの一次転送基地に転用し、四国・中国地方を中心とした電力/自動車/化学など様々な産業プレイヤーに向けて2030年までに年間約100万トンのクリーンアンモニアを供給することを目指している。

出光興産との協業による参画を検討

今回、三菱商事はエクソンモービルと、この共同検討に関する契約を締結した。また、三菱商事は、同じくクリーンアンモニア供給を目指す出光興産(東京都千代田区)との協業により、エクソンモービルのプロジェクトへの参画を検討している。

出光興産は、波方ターミナルから近い徳山事業所(山口県周南市)の既設インフラを活用したアンモニア輸入基地を設置し、化学・鉄鋼分野の素材を生産・供給しているコンビナート各社を含む周辺広域の事業所向けに2030年に100万トン超のアンモニア供給を目指している。

出光興産は2月、三菱商事とPromanが米国ルイジアナ州レイクチャールズで検討を進めているクリーンアンモニア製造プロジェクトに参画することで両社と合意している。このプロジェクトでは、2030年度までに年間約120万トンのクリーンアンモニア生産開始を目指している。

JERAもエクソン・プロジェクトへの参画を検討

なお、JERA(東京都中央区)も3月、エクソンモービルが開発を進める、低炭素水素・アンモニアの製造プロジェクトへの参画と、このプロジェクトで生産する低炭素アンモニアについて、日本国内向けの調達(年間約50万トン)についての検討を開始すると発表している。

日本政府は、水素・アンモニアの国内導入量目標として、2030年に水素300万トン・アンモニア300万トン(アンモニア換算)、2050年に水素2000万トン・アンモニア3000万トン(アンモニア換算)を掲げている。

【引用】
環境ビジネス.

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