大崎クールジェン(広島県大崎上島町)は8月1日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で、石炭をガス化して発電する「石炭ガス化複合発電(IGCC)」に、CO2分離・回収技術を組み合わせた発電システムの実証試験を開始した。同システムの調整能力向上に向け、2025年度は実機運転を通じて、耐久性を評価する。
電力需要パターンを想定した発電出力調整を行い、設備の耐久性を検証
「IGCC」とは、「Integrated coal Gasification Combined Cycle」の略称。石炭をガス化しガスタービンと蒸気タービンを組み合わせることで、従来型の石炭火力に比べて発電効率と環境性能が向上するという。
プロジェクトは、2025年度から2027年度までの3カ年にかけて行われ、季節や時間帯によって異なる電力需要パターンを想定し、IGCCの発電出力調整を行い、各設備の調整手法や耐久性、最大出力変化率・最低出力を検証する。
両者は、実証の成果を基に、CO2分離・回収型IGCCの社会実装を目指す。なお、分離・回収したCO2の一部は隣接するカーボンリサイクル実証研究拠点に供給し、カーボンリサイクル技術開発に役立てる計画だ。

実証試験の概要(出所:大崎クールジェン)
中国電力の発電所内に実証設備を整備
NEDOは2022年9月、中国電力(広島県広島市)の大崎発電所内に「カーボンリサイクル技術」の確立に向けた実証研究拠点を整備し、大崎クールジェンとともに、IGCCやIGFCなど次世代火力発電の実証研究などを行っている。
成果としては、CO2分離回収技術を組み合わせたCO2分離・回収型IGCCの実証試験を実施し、CO2回収効率90%以上の実現や、世界初となる発熱量基準におけるCO2分離・回収型IGCCへのバイオマス混合率50%達成などがある。
【参考】
新エネルギー・産業技術総合開発機構―CO2分離・回収型IGCCの調整能力向上を図る技術開発の実証試験を開始しました ―カーボンニュートラルな調整電源を目指します―
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/e08001d5-3f58-4db6-8f7f-d9e314c844c1