損害保険ジャパン(東京都新宿区)は12月10日、CO2排出量可視化支援ツールの開発を手がけるスタートアップ企業のタンソーマンGX(同・港区)と業務提携を開始すると発表した。
損保ジャパンは今後、中小企業向け会員制サービス「サクセスネット」を通じてタンソーマンのGXソリューション「脱炭素経営支援コンシェルジュ」の提供を開始する。
スコープ1から3までサプライチェーン全体のCO2排出量を可視化
「脱炭素経営支援コンシェルジュ」は、誰でも簡単に、自社からの直接間接排出を含むサプライチェーン全体のCO2排出量(スコープ1、2、3)とエネルギーの使用状況を可視化する。取引先に提出するレポートは、ワンクリックで作成できる。
このサービスでは、GHG排出量削減計画の策定支援に加え、中小企業向けSBT認証の取得支援、省エネ診断を実施する支援機関への取り次ぎなどにも対応する。
今回の提携では、損保ジャパンが第一生命と共同運営する中小企業向け会員制情報サービス「サクセスネット」を通じて、「脱炭素経営支援コンシェルジュ」を顧客へ紹介し、タンソーマンGXが「タンソチェック」の提供などによりGHG排出量削減計画の策定支援などを行うほか、自治体・商工会議所・金融機関など、地域のパートナーと連携した無料の脱炭素経営セミナーを開催し、中小企業の脱炭素経営への理解促進を図る。
中小企業の脱炭素推進を阻む課題とは
国は、地球温暖化対策を進めるため、日本の温室効果ガス排出量の2割弱を占める360万社の中小企業に対して公正な移行に向けたGX支援策を実施している。
中小企業による脱炭素経営への取り組みでは、2023年度版「中小企業白書」(中小企業庁)や、2024年度に実施された「中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査」(日本商工会議所・東京商工会議所)において、以下のような指摘がある。
- 大企業が中小企業に排出量計測・脱炭素への協力を要請した割合は2020年は7.7%だったが、2022年は15.4%と倍増
- SBT認定を取得した中小企業は、約1年半で214社から932社と4倍以上に急増
- 目先の経営課題であるエネルギー料金の高騰対策として省エネに取り組む中小企業が増加
- 中小企業の脱炭素経営の障壁となる要因は、「マンパワー・ノウハウが不足」が半数以上を占める。次いで「排出量の具体的な算定方法がわからない」
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/28b0afa3-baba-4b23-a143-705b7c595534