環境省、省エネ機器導入費用を助成 企業間連携でスコープ3削減へ

環境省は7月11日、企業間連携によりスコープ3削減を目指す事業の募集を開始した。省CO2設備導入にかかる費用を助成する。申し込み期間は12月19日(17時必着)まで。

「GX率先実行宣言」で補助率アップ

同事業は、バリューチェーン全体のCO2排出削減を強力に推進するとともに、産業競争力強化やGX市場創造を図ることが目的。事業参画者は、自社のスコープ3に当たるCO2を排出する企業と連携してバリューチェーンの脱炭素化の取り組みを主導する企業(代表企業)と、代表企業のスコープ3削減に資する企業(連携企業)を想定している。

事業のイメージ(出所:環境省)

事業のイメージ(出所:環境省)

助成の対象は、高効率設備機器・システムへの更新、電化・燃料転換、廃エネルギー利用、再エネ導入を目的とした設備で、既存設備に対して30%以上の省CO2効果が見込めることが求められる。再エネ導入のうち、太陽光発電設備は対象外となる。

補助率は、中小企業が1/2、中小企業以外が1/3。ただし、「GX率先実行宣言」を行い、かつCO2排出量を年間3000トン以上削減する企業は、中小企業同様に1/2となる。上限額は15億円(1事業者当たりの総額は応募事業の後年度分も含めた額)。

期間は、最大3カ年間(単年度事業は交付決定日から2026年1月31日まで。複数年度事業は交付決定日から最終年度の1月31日まで)。

なお、要件として、

  • 代表企業は「GX率先実行宣言」を行っていること
  • 代表企業のスコープ3削減目標を踏まえて、大企業と連携企業が、この事業実施後の連携企業のCO2排出量について合意を行っていることなどが求められる。

事業全体のスキーム(出所:環境省)

事業全体のスキーム(出所:環境省)

対象カテゴリー(連携企業の要件)や補助対象の概要

支援対象とするカテゴリーは、「購入した製品・サービス」「輸送、配送(上流)」「事業活動から出る廃棄物」「輸送、配送(下流)」「販売した製品の廃棄」の5つ。応募が想定される関係性を考慮し、代表企業からみて、これらカテゴリーに位置する事業者を連携企業とする。

支援対象のカテゴリー(出所:環境省)

支援対象のカテゴリー(出所:環境省)

補助対象設備は、事業者ごとに現在の設備構成におけるCO2排出量と比べて、30%以上のCO2排出量が削減できる設備のうち、以下の要件を満たすもの。

  • 電化・燃料転換・高効率化・熱回収などとする(太陽光発電設備は補助対象外)
  • 事業者ごとの費用対効果が10万円/トン-CO2以下
  • 事業者ごとの投資回収年数は3年以上

予算額は、3年総額約50億円

事業の名称は、「Scope3排出量削減のための企業間連携による省CO2設備投資促進事業」。予算額は、2025年度が約20億円、2026年度が約20億円、2027年度が約10億円の3年総額約50億円。

なお、実施に伴う公募説明会は行わない。事業の詳細は専用のウェブサイトで確認できる。

用語解説
「GX率先実行宣言」とは、経済産業省が主導するGXリーグにおいて、GX製品・サービスの社会実装を促進するために、企業が自社のGXへの取り組みを宣言する制度のこと。

【参考】
環境省―令和7年度Scope3排出量削減のための企業間連携による省CO2設備投資促進事業の公募開始について

【引用】
環境ビジネス.  https://www.kankyo-business.jp/news/f0b7eab9-91d7-4546-b4cf-f13536934fb7

最新情報

最新情報
関連用語
関連動画
  1. 大気からCO2を直接回収・活用 双日ら、都市実装に向け実証を開始

  2. CO2を吸収する苔に着目、営農型太陽光開発に応用 グリーンエナジーら

  3. 北ガス、事務所排出のCO2相殺・実質ゼロに カーボンクレジット活用

  4. THEMIX Greenと愛媛銀行、林業とカーボンクレジットで提携

  5. SEC、米国企業にカーボンクレジットによるオフセットに関する開示を義務付け

  6. 東急不動産と自然電力、営農型太陽光発電事業で新会社 第1号は帯広畜産大に

  7. アフリカの自主炭素市場は2050年までに1.5兆ドルを超えると予測

  8. ブルームバーグとゼネラル・インデックスが炭素市場データへのアクセスを拡大

  9. 韓国、5つの新たな場所で炭素回収と利用の実現可能性を調査へ

  10. 柑橘類系残渣を活用してJ-クレジットの創出へ 愛媛県、官民で連携

  11. Netflix、Apple、Shell、Deltaがケニアの炭素クレジットブームに参加

  12. 日本の海運会社NYK、CDRで気候変動対策を強化

  1. グリーンエネルギー (Green Energy)|用語集・意味

  2. 京都議定書|用語集・意味

  3. カーボンニュートラルとは|用語集・意味

  4. 炭素回収・貯留 (Carbon Capture and Storage, CCS)|用語集・意味

  5. カーボンフットプリントとは|用語集・意味

  6. 持続可能なファイナンス (Sustainable Finance)|用語集・意味

  7. クリーン開発メカニズム (Clean Development Mechanism, CDM)|用語集・意味

  8. 森林再生 (Afforestation/Reforestation, A/R)|用語集・意味

  9. 脱炭素への取り組みを評価する世界基準となる「ACT」=低炭素移行評価の導入を支援する企業が、福岡市に設立されました。

  10. 脱炭素社会で「カーボンクレジット」が注目されています。

  11. 財務省は14日、脱炭素社会への移行を目的とした新たな国債「GX経済移行債」の入札を実施しました。政府による「移行債」の発行は世界で初めてです。

  12. 温室効果ガス排出量 (GHG Emissions)|用語集・意味

  1. 炭素予算 (Carbon Budget)|用語集・意味

  2. カーボンファイナンス (Carbon Finance)|用語集・意味

  3. 合成燃料(e-fuel)とは|用語集・意味

  4. カーボンフットプリントとは|用語集・意味

  5. パリ協定 (Paris Agreement)|用語集・意味

  6. 森林再生 (Afforestation/Reforestation, A/R)|用語集・意味

  7. グリーン電力証書とは|用語集・意味

  8. 持続可能な開発 (Sustainable Development)|用語集・意味

  9. 天然ガスを原料に1日1.7トンの水素を製造可能 カーボンニュートラル実現に向けて製造プラントが完成

  10. 再生可能エネルギー証書(REC)とは|用語集・意味

  11. カーボンファーミングとは|用語集・意味

  12. CCUSとは(Carbon Capture Utilization and Storage)二酸化炭素回収・利用・貯留|用語集・意味