経済産業省は9月17日、CCS技術の実用化に向け、石油資源開発(東京都千代田区)による北海道苫小牧市沖での試掘を許可したと明かした。また同日、千葉県九十九里沖での事業申請の受付を開始した。
2030年度のCO2貯留開始目指す
この決定は、CCS事業法に基づくもので、特定区域の試掘は全国で初めて。石油資源開発は11月をめどに試掘を始める。
事業では、「掘削リグ」と呼ばれる掘削設備を用いて、計2本の試掘井を掘削するという。同社は、実施結果を踏まえ、2026年度内に事業化に関する最終的な投資判断を行う。
同事業は、出光興産(東京都千代田区)の「北海道製油所」および北海道電力(北海道札幌市)の「苫東厚真発電所」の排ガスから、CO2を分離・回収し、石油資源開発が地中に圧入・貯留するというもの。分離・回収の運用に必要となる技術検証は、IHI(東京都江東区)が請け負う。各社は、2030年度までに貯留開始を目指す。
なお、同事業はエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の「先進的CCS事業に係る設計作業等」に採択されている。

試掘区域の範囲と試掘の実施地点(出所:石油資源開発)
特定区域2件目は、千葉県九十九里沖の試掘
千葉県九十九里沖の特定区域は、苫小牧市沖に続く2件目の指定となる。申請期間は、12月17日(17時)まで。苫小牧沖同様、CCS事業法上の許可基準に沿って審査を行う。
京葉臨海工業地帯がある千葉県は、石油精製所や化学工場、鉄鋼業などの産業が集積し、CO2排出量が多いエリアとして知られる。近年は、2030年代初頭からのCCS事業開始に向けた準備が進んでいる。

特定区域を表示する図面(出所:経済産業省)
用語解説
CCS事業法(二酸化炭素の貯留事業に関する法律)は、工場などから排出されるCO2を回収・輸送・貯留するCCS事業を安全かつ適正に推進するためのもので、2024年5月に成立した。貯留層が存在する可能性がある地域を「特定区域」に指定し、経済産業大臣が、事業許可(試掘権・貯留権の設定)を与える。なお、海域における特定区域の指定や貯留事業の許可には、環境大臣の同意が必要となる。
【参考】
経済産業省―CCS事業法に基づき、北海道苫小牧市沖の特定区域における試掘の許可をしました
経済産業省―CCS事業法に基づき、千葉県九十九里沖の一部区域を特定区域として指定しました
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/c8b010a7-4216-4405-8cc9-855a94146733