飛島建設(東京都港区)は8月27日、市販の振動センサーを活用し、建設機械の稼働状況を正確に可視化するとともに、CO2排出量を高精度で算出するシステムを開発したと発表した。建設機械に専用の振動センサーを取り付け、予め登録された型式情報をPCやスマホで選択するだけで運用できる。
建設機械の稼働を自動検知、CO2排出量をリアルタイムに見える化
同システムは、建設機械に取り付けた振動センサーとクラウドサーバー、ウェブアプリで構成される。
建設機械が稼働するとセンサーがそれを感知し、データがクラウド上に自動送信する。建設現場の管理者はWebアプリ上で稼働状況をリアルタイムで把握できる。CO2排出量は稼働時間に基づき、自動で計算され、帳票として出力することも可能だ。センサーと連携する建設機械の情報は、型式ごとに設定された排出原単位に基づいており、排出量の定量化が行える。

システム構成(出所:飛鳥建設)
使用方法は、建設機械に直接装着するか車内に設置のどちらか
振動センサーはIoTBank(東京都新宿区)製。サイズは12.5cmx12.5cmx7.5cm(マグネットを含まず)、重さは0.47kg(バッテリーを含まず)。単1電池(3本)で稼働する。基本はマグネットで装着し使用するが、建設機械のキャビン内に置くだけでも振動を感知できるという。
稼働状況はカラーバー形式で表示
ウェブアプリでは、稼働状況を日単位・月単位で確認できる。結果はカラーバー形式で表示、1時間ごとまたは1日ごとの稼働率が色分け表示される仕組みとなっており、作業のピーク時間や未稼働時間が一目でわかる。
また、アプリでは、バッテリー残量や振動センサーのシリアルナンバーに加え、各機器がどの建設現場・建設機械に紐付いているかや登録された建設機械の型式ごとに設定された排出原単位も確認できる。初期情報が建設機械の新規登録も可能。

ウェブアプリ画面(出所:飛鳥建設)
建設現場での実証を経て、本格稼働を開始
今回開発したウェブアプリと振動センサーを活用した稼働状況の可視化システムは、建設現場4カ所での実証結果を踏まえ、建設現場2カ所で、稼働データを自動収集する本格運用を開始。手作業で行っていた稼働時間の記録が不要となり、入力ミスの削減や作業時間の大幅な短縮が実現したという。
現在は、稼働状況の可視化を通じて、アイドリング時間の見直しや稼働率の低い建設機械の特定といった副次的な活用が進んでいる。
建設現場の脱炭素化を支援、スコープ1を起点に排出管理の高度化へ
飛鳥建設は今後、対象となる建設現場を順次拡大予定で、建設機械の稼働状況から得られる実データを基に、建設現場単位でのスコープ1削減計画の策定を進める。
将来的には、GHG排出量を包括的に管理する外部サービスとの連携も視野に入れ、スコープ1・2・3を対象とした統合的な排出量管理プラットフォームへのデータ出力にも対応する予定だ。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/0335363f-7988-41ca-8717-ca34c3152c33