商船三井(東京都港区)は2月12日、海上輸送を利用する実荷主・船舶を持たない運航輸送事業者(NVOCC)のScope3削減に貢献する新プログラム「BLUE ACTION NET-ZERO ALLIANCE」を立ち上げたと発表した。
デジタル証書の割り当てで、Scope3削減
このプログラムは、商船三井グループが運航する船隊で実施した特定の低炭素航海に関して、温室効果ガス(GHG)排出削減量データなど環境属性を記載したデジタル証書を発行し、顧客へ割り当てるもの。
デジタル証書の割り当てを受けた実荷主・NVOCCは、海上輸送サービスからのScope3削減のための活動として、デジタル証書の記載に基づいて統合報告書等へ反映できる。
デジタル証書はブックアンドクレーム方式で取引する。これにより、顧客のScope3削減目標・予算に応じて、顧客が取引対象の低炭素航海に物理的に関与しているか否かに関わらず、柔軟な取引を行なうことができる。
商船三井グループは、デジタル証書の売上を原資に代替燃料を調達し、航海に使用する燃料を代替燃料に置き換えていく。
海上輸送カーボンインセットプログラム
商船三井は、今回のグループ横断で提供するカーボンインセットプログラムを、ネットゼロ・エミッションを目指し、海上輸送に関連するステークホルダーと代替燃料を使用した低炭素海上輸送サービスを共に創り上げ強化することで実現していく。カーボンインセットとは、企業が自社のサプライチェーン内における環境分野への直接投資で生み出したCO2吸収・削減量によって相殺することをいう。
低炭素航海実施からデジタル証書取引まで体制を整備
商船三井は2024年2月、アジア太平洋域の海運会社として初めて、オランダのスタートアップ企業123Carbon B.V.と協働して構築したプラットフォーム上で、代替燃料を使用した低炭素航海の環境属性をデジタル証書として取引可能な形とした。
このデジタル証書の取引は、国際的NPOであるSmart Freight Centreが公表しているMarket Based Measures Accounting Frameworkという方法論に準拠している。デジタル証書は、個別に第三者による検証を経て発行される。
商船三井は、今回のプログラム立ち上げにあたり、グループが運航する船隊での代替燃料を使用した低炭素航海の実施から、デジタル証書を発行し顧客へ割り当てるまでのオペレーションを確実に実行できる体制を整えた。
また、パイロットプロジェクトで発行済みのデジタル証書について、NIPPON EXPRESSホールディングス、C.H. ROBINSON WORLDWIDE、商船三井ロジスティクスの大手NVOCC3社との取引を実行した。
低炭素海上輸送サービスの提供へ環境投資を推進
商船三井グループは、「環境ビジョン2.2」において、ネットゼロ実現のためのアクションの一つとして「ネットゼロを可能にするビジネスモデル構築」をあげている。今回のプログラムの立ち上げはその具体的事例の一つとなる。
また、同社グループは、経営計画「BLUE ACTION 2035」に基づき、代替燃料船隊整備とクリーン燃料サプライチェーン構築の後押しを目的とした環境投資計画を策定し、取り組みを進めている。今回のプログラムを通じて、海上輸送に関連するステークホルダーと対話を深め、顧客の要望に沿った低炭素海上輸送サービスの提供に努めると共に、それを実現するために適切な環境投資を進めていく。
【引用】
環境ビジネス. https://www.kankyo-business.jp/news/ad85bff6-5ceb-4fef-b600-caebb69be890